2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌における上皮細胞成長因子(EGF)の遺伝子多型に関する研究
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17790934
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
川崎 浩資 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20399083)
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Keywords | epidarmal growth factor / single nucleotide polymorphism / colorectal cancer |
Research Abstract |
epidarmal growth factor (EGF)は多くの生物学的な機能を有し、消化器癌を含む様々な腫瘍の増殖に重要な役割を担っている。最近EGFの機能的なsingle nucleotide polymorphism (SNP)が同定され。本研究は、EGFの遺伝子多型の大腸癌における臨床病理学的意義を解明することを目的に検討を行った。1999年から2001年までに、当科で外科的切除を受けた初発大腸癌136症例を対象とした。内訳は男性84例、女性52例、年齢は64.2±12.4歳であった。EGF遺伝子の5'末端非翻訳領域のposition +61を標的としたprimerを作成し、各症例の新鮮凍結標本から抽出したDNAを鋳型もとにオートシークエンサーを用いて塩基配列を同定した。対象はA/A:15.4%(21/136)、G/A:22.8%(31/136)、G/G:61.8%(84/136)の3つのgenotypeに分類された。これらをA群(A/A)とB群(G/A or G/G)に分け、各臨床病理学的因子との相関について検討を行ったところ、年齢(A群:65.0±14.0歳,B群:64.1±12.1歳)、性別(A群:男性47.6%,B群:男性64.3%)、腫瘍最大径(A群:5.5±2.4cm歳,B群:5.4±2.0cm)、深達度(mp以深)(A群:85.7%,B群:85.2%)、リンパ節転移(A群:61.9%,B群:48.7%)、肝転移(A群:14.3%,B群:16.5%)、腹膜転移(A群:10.0%,B群:5.2%)、組織学的病期(stage IIIa以下)(A群:76.2%,B群:80.0%)には両群間に有意な差を認めなかった。しかし全症例における5年生存率はA群:50.6%、B群:68.2%とA群:が有意に予後不良で(p=0.03)、特にstage IIIa以下の症例において、A群は有意に再発率が高く(A群:51.8%,B群:37.9%,p=0.02)、5年生存率も有意に不良であった(A群:63.0%,B群:90.9%,p<0.001)。EGFのA-G SNPは、大腸癌における再発および予後不良の予測因子になる可能性が示されたが、今後症例数を増やすと伴に、各SNPにおけるEGFの発現状況について検討を行っていく予定である。
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