2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790938
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白石 泰之 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (00329137)
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Keywords | 心不全 / 循環補助 / 人工心筋 / 熱解析 / 形状記憶繊維 |
Research Abstract |
本研究では、バイオロボティクス先進技術を応用して心不全時の心筋の機能を補助する完全埋込型バイオロボティクス人工心筋を開発することを目的とした。平成17年度は、100マイクロメートル程度の直径を有する形状記憶合金の組み合わせによって実現できる人工心筋の開発にとくに重点をおき、プロトタイプモデルの作成と、動物実験による血行力学的効果の基礎検討を行い、発熱伝熱応答に着目して収縮出力特性の定量化を行った。本年度の主たる研究成果は以下のごとくである。 (1)バイオロボティクス人工心筋の設計試作 形状記憶合金繊維をアクチュエータ要素としたパラレルリンク構造の人工心筋を設計、試作した。心臓の解剖学的構造を心筋組織の集積した冗長系として取り扱うこととし、バンド形状の人工心筋心臓周囲を取り囲み装着する構造とした。また共有結合性ナノ構造を有する形状記憶合金繊維は、高い電気的安定性を有し、従来困難と考えられてきた力学的な高精度変位制御を可能であることが分かった。 (2)動物実験による基礎的性能評価 試作した人工心筋を麻酔開胸下の健常性山羊心臓心膜内に装着し、血行力学的効果を検討した結果、循環量約2.5L/minの低心拍出量下において左心室収縮期圧および大動脈圧の上昇が観察され、人工心筋駆動による拍動補助の基礎的な有効性が確かめられつつある。 また、心室壁挙動を新しい三次元的画像解析手法によって定量化するバイオロボテイクス手法の開発を試み、動物実験によりその性能を検証した。形状記憶合金のマルテンサイト変態温度は70℃として設計したが、サーモカメラによって計測されたシステム発熱は、大気中においては60℃であったが、心臓表面に装着した場合には心筋表面血流による冷却効果により40℃近傍で漸近飽和することが観察され、今後熱応答も考慮した設計および機能のモデリングと解析が重要であることが本年度の研究から示唆された。
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