2005 Fiscal Year Annual Research Report
小型ポンプによる冠潅流と単純浸漬を組み合せた搬送型臓器保存装置による長時間心保存
Project/Area Number |
17790940
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大嶋 清宏 群馬大学, 医学部, 講師 (60361375)
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Keywords | 心保存 / 心移植 / 冠灌流保存 |
Research Abstract |
【背景と目的】群馬大学式臓器保存装置を使用し,浸漬下12時間持続冠灌流保存(CP)法と11時間単純浸漬保存後に1時間の冠灌流を付加した方法(SI+CP法)とを比較検討し,長時間至適心保存法の確立を目指した. 【方法】実験には,体重10〜15kgの12組のHBD成犬を使用した.ドナー心摘出後,保存法によってCP群(n=6)とSI+CP群(n=6)の2つグループに分けた(CP群:4℃のCelsior液に浸漬した状態で12時間持続冠灌流保存,SI+CP群:同液での11時間単純浸漬に引き続き1時間の冠灌流を追加し計12時間保存).保存には群馬大学式臓器保存装置を使用した.12時間保存後に同所性心移植し,再灌流2および3時間後の血行動態,すなわちCO,E_<max>及びrate pressure product (RPP)を測定し2群間で比較した.測定後,左室心筋の一部を採取し,心筋のwater contentと光顕および電顕による病理学的検討を行った. 【結果】再灌流後血行動態は両群とも良好に保たれ,CO, E_<max>,RPPのいずれも2群間に有意差はなかった.一方,water contentはCP群に比しSI+CP群で有意(p<0.05)に低く,SI+CP法による心筋浮腫はCP法に比べ軽度であった.HE染色では虚血再灌流による心筋細胞での酸素欠乏を示す好酸性変化がSI+CP群に比しCP群においてより高頻度にみられた.PAS染色では,SI+CP群においてCP群よりグリコーゲンの保存状態がより良好であった.電顕所見では,ミトコンドリアの膨化がCP群の方が強く,クリステの変性も高度にみられた.CP群の方が筋原線維間の隙間が目立ち,光顕的に浮腫が明確でない部分にも超微形態的には浮腫の存在が明らかであった. 【結論】単純浸漬保存後短時間冠灌流追加法は持続冠灌流保存法に比べてより優れた保存法であるとの結論を得た.
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Research Products
(4 results)