2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌の発癌過程における結節性硬化症遺伝子の関与の解明
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17790944
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
高持 一矢 浜松医科大学, 医学部付属病院, 医員 (30397369)
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Keywords | 肺腺癌 / 結節性硬化症遺伝子 / ゲフィチニブ / EGFR / mTOR |
Research Abstract |
結節性硬化症(TSC)遺伝子産物はPI3K-Akt経路の下流でmTORを制御している癌抑制活性を持つ分子で、その活性はAktによるリン酸化によって抑制的に調節されている。PI3K/Akt/mTOR経路はThyrosine kinase receptor(EGFR/PDGFR)にシグナルが伝達されることから始まる。 最近、EGFR thyrosine kinase inhibitorであるGefitinibの肺癌に対する治療効果とEGFRのmutationもしくはamplificationとの相関が明らかになり、治療効果の予測にEGFR/PI3K/Akt/mTOR経路の分子の異常が関わる可能性が想定される。本年度は、gefitinib治療がなされた肺癌切除症例においてTSC1,TSC2,EGFR, pAktの免疫染色、EGFR, K-ras, PI3CAのmutationの検索、EGFR, PI3CAのFISHを行い、治療効果との相関について検討した。 また、TSC1,TSC2のFISHプローブを作成したので、今後追加で検討する予定である。 (対象)肺癌切除例13例、男:女=8:5、腺癌:非腺癌=10:3 (結果) 1.治療効果:PR3例、CR2例、SD3例、PD2例、評価不能3例 2.免疫染色陽性率:TSCl 3/13,TSC2 8/13,EGFR 10/13,pAkt 0/13 3.遺伝子変異率:EGFR 5/13,K-ras O/13,PI3CA 1/13 4.FISH増幅率:EGFR 7/13,PI3CA 1/13 5.Gefitinib治療効果との相関:EGFR変異陽性5例中、3例がPRもしくはCR,1例がlong SDで治療効果との相関が示唆された。 (来年度以降の計画) Gefitinib治療症例以外の症例を含め症例数を増やし、肺癌におけるEGFR/PI3K/Akt/mTOR経路の分子の異常と生物学的意義(悪性度、予後、分子標的治療の可能性)について検討を行う。
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