2005 Fiscal Year Annual Research Report
気管支鏡下マイクロサンプリング法によるゲフィチニブ内服後肺障害の予知に関する研究
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17790954
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
神谷 一徳 慶應義塾大学, 医学部, 嘱託(非常勤) (80365270)
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Keywords | 肺癌 / ELF(肺胞被覆液) / ゲフィチニブ(イレッサ) / マイクロサンプリング |
Research Abstract |
ゲフィチニブ(イレッサ)による合併症である副作用(間質性肺炎)の防止、同薬の的確な適応条件の提案を目的として、出血・気胸などの可能性が低い、気管支鏡下マイクロサンプリング法にて、ゲフィチニブ投与前後のELF(肺胞被覆液)中の種々のマーカーを測定した。平成17年度は目標を上回る計11例の測定を行ったが、同例中に間質性肺炎の発症例はなく、間質性肺炎の発症例と非発症例との比較検討・解析は不可であったが、他の知見が得られた。KL-6・SP-D・SP-Aは肺胞上皮障害度のマーカーとして一般的に使用されているが、今回の研究により、肺癌の病勢の進行度を反映するマーカーになりうる可能性が示唆された。胸部レントゲンやCTなど他所見にて、ゲフィチニブの抗肺癌腫瘍効果があると判断された群の、ELF中上記マーカーは、抗腫瘍効果なしと判断された群に比べて、ゲフィチニブ内服前後間で、低下傾向を示した。また、同時に測定した血清中のKL-6・SP-D・CEAと、ELF中の同種マーカーは、同様の推移をとる事を確認した。つまり、ELF(肺胞被覆液)中のマーカーは、血清中マーカーと同様に、腫瘍の病勢の変化を反映する可能性があることを示すことができた。病勢の変化に、ELF中マーカーは血清中マーカーより更に鋭敏である可能性もある。平成18年度も、更に症例の測定を重ね、間質性肺炎の発症例・非発症例の比較・検討と同時に、全症例において種々のマーカーの検討・解析を進めていく予定である。
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