2005 Fiscal Year Annual Research Report
p16遺伝子による悪性グリオーマの多核化および放射線増感機序の解明
Project/Area Number |
17790971
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
濱 聖司 広島大学, 大学院医歯薬総合研究科, 非常勤講師 (40397980)
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Keywords | p16 / 細胞周期 / 多核化 / 細胞分裂異常 / 放射線 / 悪性グリオーマ / G1 / S期 / G2 / M期 |
Research Abstract |
以前、我々は神経系悪性腫瘍細胞において、p16などの細胞周期調節因子を強制発現させると、放射線照射後細胞周期はG1期に停止し、細胞分裂の異常によると考えられる多核化などの核異常を伴って遅発性放射線細胞死が活発に引き起こされることを報告した。本年度はこの現象について、(1)病理組織学的検討にて、p16の臨床的意義を探る;(2)細胞分裂に関わる因子を検討してp16との関わりの可能性について探ることとした。 (1)悪性グリオーマ患者の摘出組織に対し、p16抗体で免疫組織染色を行い、細胞内のp16因子の局在について検討した。すると、p16が細胞質内に染色された患者群の生命予後は、染色されない群の生命予後と比較して有意に悪いことが示された。しかし、p16が核内に染色されるか否かについては、生命予後との間で有意差は見出せなかった。このことから、p16は発現の有無だけでなく、細胞内の局在が、グリオーマの悪性度、放射線治療感受性に深く関わっていることが示唆された。 (2)細胞分裂に関わる因子として、当教室では従来よりSurvivinに注目し、臨床検体にて検討すると共に、in vitroで研究を進めてきた。主にSurvivinの発現を抑制することによって起こる現象を調べ、G2/M期の異常を引き起こし、核の形態異常を来たすことを突き止めた。今後、この現象を更に詳細に検討することで、G2/M期に関わる因子と核の形態異常との関連をしらべ、来年度は、細胞分裂とp16に代表されるG1/S期への関わりへの検討へと進める予定としている。 その他にも、多方面から悪性グリオーマ患者の予後不良因子を検討し、細胞周期関連因子や放射線感受性との関わりを調べ、本研究をグリオーマ患者の予後改善へと発展させることを目指す。
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Research Products
(3 results)