2005 Fiscal Year Annual Research Report
VHL遺伝子・タンパクによって誘導された神経系細胞による脊髄神経再生に関する研究
Project/Area Number |
17790981
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
村田 英俊 獨協医科大学, 医学部, 助手 (40398524)
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Keywords | von Hippel-Lindau遺伝子 / 神経分化 / 脊髄再生 / 脊髄症 |
Research Abstract |
Von Hippel-Lindau(VHL)病は母班症と呼ばれる疾患群のひとつであり、小脳血管芽腫、網膜血管芽腫、腎細胞癌などを生ずる常染色体優性遺伝性疾患である。VHL遺伝子は、1993年ポジショナルクローニングによりVHL遺伝子が同定されて以来、腫瘍抑制遺伝子として知られてきた。一方、正常中枢神経ではニューロン特異的にVHLタンパクが発現していることがわかり、私たちは生理的な神経分化にVHL遺伝子・蛋白が大きく関与していることを突き止めた(H.Murata, Cancer Res,2002)。今回、VHL遺伝子によって誘導された神経系細胞により、脊髄神経再生が図れるかどうか検討した。H17年度は申請者がVHL遺伝子を導入し樹立したVHL発現神経芽細胞腫(SH-SY5Y) (neuron近似細胞)をラット脊髄症モデル(Kim, Ann Neurol,2004)に移植する実験を行った。脊髄実質への細胞生着は良好で、神経系マーカー発現(neuropeptide Y, Neurofilament-H)が維持された。脊髄神経伝導速度ではコントロールとに有意差が生じた。行動学的機能回復はコントロールに比べ若干の改善がみられた。一方で、生着後一部脱分化し、腫瘍性増殖を示したものが存在し、病理学的には神経ネットワークの再構築は明らかでなかった。H18年度では、神経幹細胞を用いて同様の実験を行う予定で、腫瘍性増殖の問題が回避でき、神経ネットワークの構築、行動学的機能改善の獲得が期待されている。
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