2006 Fiscal Year Annual Research Report
VHL遺伝子・タンパクによって誘導された神経系細胞による脊髄神経再生に関する研究
Project/Area Number |
17790981
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
村田 英俊 横浜市立大学, 医学部, 助手 (40398524)
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Keywords | von Hippel-Lindau遺伝子 / 神経分化 / 脊髄再生 / 脊髄症 |
Research Abstract |
Von Hippel-Lindau(VHL)病は母班症と呼ばれる疾患群のひとつであり、小脳血管芽腫、網膜血管芽腫、腎細胞癌などを生ずる常染色体優性遺伝性疾患である。これまで、腫瘍抑制遺伝子として知られてきたが、一方、正常中枢神経ではニューロン特異的にVHLタンパクが発現していることを発見し、私たちは生理的な神経分化にVHL遺伝子・蛋白が大きく関与していることを突き止めた(H.Murata, Cancer Res, 2002)。この2年間、VHL遺伝子によって誘導された神経系細胞により、脊髄神経再生が図れるかどうか検討してきた。H17年度は申請者がVHL遺伝子を導入し樹立したVHL発現神経芽細胞腫(SH-SY5Y)(neur)n近似細胞)をラット脊髄症モデル(Kim, Ann Neurol, 2004)に移植する実験を行った。脊髄実質への細胞生着は良好で、神経系マーカー発現(neuropeptide Y, Neurofilament-H)が維持されたが、一方で、一部生着後脱分化し、腫瘍性増殖を示したものが存在し、病理学的には神経ネットワークの再構築は明らかでなかった。H18年度では、神経幹細胞を用い同様の実験を行った。腫瘍性増殖はほぼ無かったが、生着性はVHL発現細胞(SH-SY5Y)の方が高かった。神経マーカーの発現も神経幹細胞よりも同細胞の方が高かった。脊髄は、神経索路や神経細胞が密集し、機能的にsilent areaが少ない組織である。どちらも大きな障壁となったのは、移植そのものによる障害も決して無視できなかったことである。VHLによる神経マーカーの発現、脊髄機能再生は確認できたものの、臨床応用へ進展させるためにはこれらの未だ克服すべき問題が存在した。そのため、移植処置が必要なく、無侵襲で、かつ不活化した自己の脊髄ニューロンそのものを再生させる手段を模索している。その候補としてTAT-VHLペプチドを開発し研究を続けている(平成19年度科学研究費基盤研究C 交付予定)。
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Research Products
(2 results)