2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈瘤感受性遺伝子Elastin、LIM kinaselからの責任変異同定
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17790985
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
赤川 浩之 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60398807)
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Keywords | 脳動脈瘤 / くも膜下出血 / 遺伝子 |
Research Abstract |
2001年、我々は85家系104対の脳動脈瘤罹患同胞についてゲノム全域での連鎖解析を終え、染色体5q22-31、7q11、14q22に有意な連鎖を見出した。このうち、最も強い連鎖を認めたのが染色体7q11領域(maximum LOD score3.22)であった。近年、ユタ大学での白人家系の解析でも連鎖が再現されたことを受け、ピークマーカーD7S2472の近傍に注目し感受性遺伝子の同定を進めてきた。D7S2472領域4.6Mbで168SNPのタイピングを行い、SNP関連解析に加え、領域の詳細な連鎖不平衡マッピング、体系的ハプロタイプ関連解析も行った。その結果、D7S2472より約400kbセントロメア側のELN、LIMK1遺伝子を含む連鎖不平衡ブロックに疾患関連遺伝子座を絞り込むことが出来た。さらにこの領域を404例の脳動脈瘤患者と458例の非脳動脈瘤コントロールで詳細に検討したところ、ELN、LIMK1遺伝子の転写産物を減少させる機能的SNPが疾患と有意に関連していることが明らかになった。ひとつはELN3'UTR(+502)A挿入SNPでmRNA結合蛋白の親和性を変化させることにより転写産物を減少させる。もうひとつはLIMK1プロモーターC(-187)T SNPで転写活性を減少させる。そして、最も強い関連を認めたのがELN 3'UTR G(+659)C SNPで(P=0.000002)、ELN、LIMK1遺伝子の転写産物を減少させる2つの機能的SNPを同時に乗せるハプロタイプ・タグSNPであった。すなわち、ELN、LIMK1遺伝子の転写産物がともに減少することが脳動脈瘤の成因に深くかかわっていることが示唆される。この機能的タグSNPは韓国人グループでの患者・対照研究でも有意な関連が再現されている。
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