2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791001
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
岩佐 潤二 島根大学, 医学部, 講師 (20294382)
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Keywords | 関節 / 軟骨 / 再生医学 / 外傷 / 胎生 / 外傷 |
Research Abstract |
胎生19日のWister ratの大腿骨滑車部に特注ナイフで深さ150μmの軟骨半層欠損を作成した。しかし、顕微鏡で観察したところ再現性のある欠損が作製できていなかったため、ウサギを使用して正確な軟骨欠損ができるまで手術手技の改良を行なった。その結果、手術法は改善し、胎児ラットの手術が可能になった。 胎生ラットでは手術後1dで欠損周囲の細胞増殖が亢進し、3dでは欠損部が細胞成分で占拠され、12dではサフラニンOで濃染される軟骨組織が形成されていた。観察期間を細かく設定し実験動物の数を増やさなければ詳細な修復過程を論じられないが、少なくとも12dの時点では正常コントロールとの形態学的差異は検出できなかった。骨髄の幹細胞には欠損部への進入経路がないことから、この修復は軟骨細胞によって行なわれていると結論した。続いて、c-fosの発現をRT-PCRで測定したところ、受傷後1hでc-forの発現が亢進していた。一方、12dでの発現はコントロールと同じであった。組織修復に先立って、c-fosが発現するという我々の仮説を支持する結果である。しかし、c-fosの発現亢進が受傷後いつまで続くのかは明らかにできなかった。次に、in situ hybridyzationを行なってc-fos発現の局在を調べた。受傷部位近傍での発現が観察されたが、欠損から離れた部位でも陽性に染まっていた。これは手術時の非特異的侵襲が招いた結果かもしれないため、手術手技を改良し、来年度に局在を再検索する予定である。 一方、生後12wの雄Wister ratの大腿骨滑車部にも同様の軟骨半層欠損を作成した。この欠損は手術後12dになっても残存していた。c-fosの発現も明らかな亢進は認めなかった。
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