2006 Fiscal Year Annual Research Report
膝ACL再建後の関節軟骨変性を高感度の立体的構造解析法で評価する
Project/Area Number |
17791002
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森 隆治 島根大学, 医学部, 助教授 (40263537)
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Keywords | 変形性関節症 / 膝 / 靱帯再建術 / 前十字靱帯 / 関節軟骨 / 構造解析 |
Research Abstract |
豚に全身麻酔をかけて膝関節手術を行った。半腱様筋および薄筋腱を採取しそれぞれを2重折にした。この4重の腱の一端には糸(ポリエステルまたはポリエステル)を介してエンドボタンを取り付け、他端にはポリエステルテープを取り付けた。そして、大腿骨にエンドボタン固定を、脛骨側にポリエステルテープのステープル固定を行った。こうして関節内に自家腱で前十字靭帯を再建した。このとき、右膝には適切な固定位置に腱再建ができるように平成17年度に作製したドリルターゲットを用いた(適正群)。左膝にはターゲットを用いずに再建術を行ったが、固定位置は概ね5mm前方にずれていた(不良群)。 術後1-3ヶ月で安楽死させて、膝関節の安定性検査および関節軟骨の形態学的検査を行った。適正群は前方動揺性や肉眼的な軟骨変性はなかった。しかし、顕微鏡検査を行うと、表層関節軟骨において軽度のサフラニン-O染色性低下と細胞密度の減少を認めた。ただし、1細胞あたりの細胞体積は増加していたために、総細胞体積と細胞間質体積の比率(細胞容量分画)は正常値とほとんど変化することはなかった。 一方、不良群は膝関節の動揺性が顕著で手術直後の動揺性よりも大きくなっていた。また、再建された靭帯は骨孔出口部分や顆間窩で磨り減って直径を減じていた。関節軟骨の状態は適正群とほぼ同じ結果をしめした。つまり、変性は肉眼的には明らかではなく、顕微鏡観察で表層の染色性低下と細胞成分の低下を認めた。顕微鏡観察においても詳細に分析すると、細胞密度のみならず細胞容量分画も低下する傾向にあった。しかし、標本数が少ないため統計学的に有意ではなかった。そこで、効率的に標本数を増やすために、ウサギ膝関節の手術も行った。ウサギ膝関節の靭帯再建は正確に行うことはできないため、全てを不良群に位置づけて特徴的変性所見を検索した。
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