2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷後の神経機能再生時における血液-脳関門再形成の分子機構
Project/Area Number |
17791003
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉鷹 輝仁 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (20397897)
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Keywords | 脊髄損傷 / 血液脳関門 / アストロサイト / グリア境界膜 |
Research Abstract |
脊髄損傷後の治療に対し,神経幹細胞移植などが試み始めているが,脊髄機能の再獲得には脊髄神経細胞の再生だけでなく,正常の脊髄と同じく,選択的な物質の透過性をもたらす血液-脳関門(BBB)の再形成も非常に重要となる. 本研究では以下に述べる如く,脊髄損傷のマウスモデルを作製,BBBの破綻と再生過程におけるグリア境界膜の関与を分子レベルで明らかにすること,さらに脊髄機能再生におけるグリア境界膜の関与を明らかにすることを目的とした.グリア境界膜に特異的に発現している分子として同定し,過去に報告した新規膜タンパク質limitrinの脊髄損傷における関連性を解析した. 本研究を通し,グリア境界膜が血液脳関門の機能維持に重要な役割を果たしていることが示唆された.脊髄外傷モデルにおいて血液-脳関門不全が生じるメカニズムの一つを見出したと考えている. 1,脊髄損傷モデルの作製 C57BL/6マウスを用いて,脊髄損傷モデルを確立した. 2,脊髄損傷モデルにおける血液脳関門の破綻と再生の組織学的な解析 マウス脊髄において,グリア境界膜の構成分子であるlimitrinやジストログリカン,アクアポリンによってグリア境界膜を可視化することが可能となった.そこで損傷組織におけるBBBとグリア境界膜の経時的な変化を組織染色,免疫組織染色によって詳細に解析した.これらは損傷後速やかに消失し,その後脊髄機能再生に伴って局在の回復が認められた.これらの結果から,損傷によってグリア境界膜はいったん破綻し,その後,修復されると考えられる.さらに,その変化と炎症細胞の浸潤の程度に変化がみられた.すなわちBBBの機能にグリア境界膜が関与することを示唆する結果が得られた.
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