2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞融合受容体OFRによる破骨細胞多核化機構の解明
Project/Area Number |
17791013
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮本 健史 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70383768)
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Keywords | DC-STAMP / 破骨細胞 / 細胞融合 |
Research Abstract |
破骨細胞の細胞融合因子としてDC-STAMP(OFRではなく、先に分子として報告されたDC-STAMPを名称として使用)を同定し、ノックアウトマウスを作製したところ破骨細胞の細胞融合が完全に抑制されていることを見出した。また、DC-STAMPは破骨細胞に限らず他のマクロファージ系の巨細胞である異物巨細胞の細胞融合においても必須の作用を持つことを明らかとし報告した(J Exp Med 2005)。分化マーカーや転写因子の発現はノックアウトマウス由来の破骨細胞にも野生型マウス由来のものと同様に認めており、またノックアウトマウス由来の破骨細胞にも破骨細胞に特異的とされる波状縁の形成を認め、弱いながらも骨吸収能を有していたことから、破骨細胞の分化そのものにはDC-STAMPは影響しないことを見出した。しかし、興味深いことにDC-STAMPを過剰に発現させても細胞の融合が誘導できないことから、DC-STAMP以外の分子が細胞融合に共役して作用していることが考えられる。DC-STAMPは破骨細胞に特異的な分子としてDNAサブトラクション法を用いて同定したことから、DC-STAMPと同様には骨細胞の分化に伴って共役分子も発現が誘導されてくることが考えられる。そこで破骨細胞の細胞融合機構を解明するため、DC-STAMPの発現を制御する機構の解明を行った。破骨細胞の分化にはc-fosやNFATc1といった転写因子が必須の作用を持つことが知られているが、DC-STAMPはまさにこれらの転写因子の標的分子であり、DC-STAMPの発現はc-fosノックアウトマウス由来の細胞やNEATc1抑制剤の存在下では誘導されなかった。またDC-STAMPの発現は破骨細胞と他の細胞融合をおこすマクロファージ巨細胞とではその制御機構が異なることも見出しており、現在これらの知見について投稿準備中である。
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