2006 Fiscal Year Annual Research Report
外基性脊髄損傷における軸索再生阻害へのmicroglia系細胞の関与
Project/Area Number |
17791014
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大熊 正彦 東海大学, 医学部, 講師 (10317787)
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Keywords | 外傷性脊髄損傷 / マクロファージ / 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF) / stem cell factor (SCF) / 軸索再生 |
Research Abstract |
【目的】我々はこれまでの研究で外傷性脊髄損傷における微小環境因子とマクロファージの動態についての検討を行ってきた。顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は骨髄細胞の誘導、分化増殖を促し、stem cell factor (SCF)は神経幹細胞の増殖や神経保護作用を持つことが報告されている。今回我々はG-CSF、SCFの投与により脊髄損傷における微小環境の改善や神経保護作用について検討を行った。 【方法】GFP陽性骨髄細胞を移植したマウスの胸髄圧挫損傷を作製した。SCF群(SCF+G-CSF)、G-CSF群(G-CSF)、PBS群の投与群に分け損傷11日後から10日間皮下注射にて投与し、損傷28日後にマイクログリア/マクロファージマーカー(F4/80),血球系マーカー(CD45)とGFP抗体で免疫二重染色を行い前索,側索,後索において同面積あたりの細胞数を検討した.同様にBrdU抗体についても組織学的検討を行った。損傷12週後までBBB scaleで運動機能を評価した。 【結果・考察】運動機能(BBB)は損傷直後から28日目までは同様の改善傾向を示したが,28日目以降に徐々に差を認め12週後にはSCF群においてG-CSF群,PBS群と比べ有意な改善を認めた。細胞の増殖活性では,GFP陽性細胞の約10%にBrdU陽性細胞を示し,control群,G-CSF群に比べSCF併用群で有意に増加していた。GFP陰性のBrdU陽性細胞についても同様にSCF群で有意に増加を示しており,骨髄由来細胞のみならず脊髄内在性細胞の増殖活性も亢進していた.また増殖した内在性細胞は,GFP陰性F4/80陽性の細胞が増加している所見から,内在性マイクログリアと推測された。以上の結果からG-CSFとSCF併用は脊髄損傷における軸索再生に効果的に作用する可能性が考えられた。
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