2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛におけるα1Gカルシウムチャネルの役割の解明
Project/Area Number |
17791023
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
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Keywords | 神経因性疼痛 / α1Gカルシウムチャネル / 麻酔薬 |
Research Abstract |
C57BL/6マウス(野生型)とαlGカルシウムチャネルノックアウトマウスを用い、神経疾痛モデル(Spared nerve in jury、SNI)を作成し、von Frey hairによる機械的刺激に対する反応を評価した。このモデルは坐骨神経の枝である総腓骨神経(common peroneal nerve)と脛骨神経(tibial nerve)を結紮・切断し、腓腹神経(sural nerve)には損傷を与えないものである。神経損傷を与えてから24時間以内に生ずる腓腹神経の支配領域での機械的刺激によるアロディニアは、ノックアウトマウスで野生型マウスと同様に発現し、観察期間中(3週間)両群問に有意差は認められなかった。神経疼痛モデル作成後のノックアウトマウスの疼痛関連行動は野生型とくらべ変わらなかったことから、α1Gカルシウムチャネルがその疼痛メカニズムにおいて関与しないことが示唆された。 SNIモデル作成時に吸入麻酔薬を用いたが、ノックアウトマウスにおける麻酔薬の感受性低下が疑われたため、そのマウスにおける麻酔作用を調べた。吸入麻酔薬及び静脈麻酔薬の催眠作用を立ち直り反射の有無を調べる方法(LORR)で、吸入麻酔薬の不動化作用をtai1-clamp法(最小肺胞内濃度、MACアッセイ)で調べた。α1Gカルシウムチャネルノックアウト後、LORRの中央有効量(LORR ED_<50>)及びMAC値には変化は認められなかった。一方、野生型マウスと比べて、ノックアウトマウスにおいてイソフルラン、ハロタン、セボフルランへ露出開始から麻酔(催眠作用、LORR)がかかるまでの時間は有意に延長した。ペントバルビタールの催眠作用までの時間も、ノックアウトマウスにおいて遅れていることが明らかとなった。 この結果から正常の麻酔の維持(催眠作用及び不動化作用)はα1Gカルシウムチャネルを必要としないが、吸入麻酔薬及びペントバルビタールの麻酔導入までの時間は、α1Gカルシウムチャネルが不可欠であることが示唆された。
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