2005 Fiscal Year Annual Research Report
NMDA受容体拮抗薬の脊髄虚血時の脊髄保護作用に関する研究
Project/Area Number |
17791033
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐伯 仁 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (80379958)
|
Keywords | NMDA受容体 / 脊髄虚血 / 神経傷害 / 家兎一過性脊髄虚血モデル / マグネシウム |
Research Abstract |
生理的NMDA受容体拮抗薬であるマグネシウム(Mg)の虚血性神経障害保護作用が報告され、脊髓虚血でもくも膜下投与の有効性が報告されている。しかし、我々の研究では神経障害を認めない濃度(Mg3mg/ml)のくも膜下単回投与は虚血性障害保護作用を認めず、これ以上の濃度では用量依存性に神経障害を引き起こした。Mgの治療域と毒性域が狭い可能性が考えられ、脊髓保護効果があるとすれば、何らかの至適投与量、投与法を検討することが重要と考えた。本年度の研究では、くも膜下Mg持続的投与の安全性について家兎腰部脊髄くも膜下薬剤投与モデルを用いて検討した。【方法】予め家兎腰部脊髓くも膜下に薬物投与用カテーテルを埋め込み、神経障害が無いことを確認後、セボフルラン麻酔下にカテーテルより生理食塩水(生食群)またはMg溶液(Mg3mg/kg群)を投与(速度2ml/hr、45分間)した。投与後、麻酔より覚醒させ、後肢運動機能(4:正常、3:跳躍はできるが正常ではない、2:正常に座れない、1:わずかに動く、0:完全麻痺)及び感覚機能(2:正常、1:感覚の減弱している領域がある、0:感覚の脱失している領域がある)を観察した。7日後に全身麻酔下に脊髄を灌流固定し組織学的評価を行った。【結果】7日後の後肢運動機能・感覚機能は全ての家兎が正常であった。しかし、Mg3mg/kg群では半数以上の家兎で、麻酔覚醒後数時間後肢の完全麻痺や感覚過敏を認めた。組織学的評価では両群ともに著変は認めなかった。【考察・まとめ】Mg3mg/kg(速度2ml/hr、45分間)のくも膜下持続投与は神経学的・組織学的に不可逆的神経障害を引き起こさないことが明らかとなった。しかし投与終了直後の神経学的所見から、可逆的ではあるが何らかの神経障害が引き起こされていると考えられ、神経障害の病態・発症機序について更に検討を行う予定である。
|