2005 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈平滑筋細胞のATP感受性K^+チャネルに及ぼす麻酔薬の影響
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17791035
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河野 崇 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (40380076)
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Keywords | 静脈麻酔薬 / プロポフォール / パッチクランプ法 / ピナシジル / グリベンクラミド / 血管平滑筋細胞 / Wortmannin / Cytochalasin D |
Research Abstract |
血管平滑筋細胞のATP感受性K^+チャネル(K_<ATP>)は,血管平滑筋,特に冠動脈の血管トーヌスを制御する重要なイオンチャネルであることが最近報告された。冠動脈痙縮による狭心症は,日本人に多く,麻酔や外科手術による侵襲による周術期の合併も多く報告されている。本研究では、培養ラット冠動脈平滑筋細胞のK_<ATP>チャネル電流をパッチクランプ法で記録し,臨床使用頻度の高い静脈吸入麻酔薬のプロポフォールの影響を比較検討する。 [方法]ブタ冠動脈を摘出後,血管内皮を除去し,約2mm角の切片とした。この小組織片を5-7日培養し,遊出した単一冠動脈平滑筋細胞を用いて実験を行った。単一K_<ATP>チャネル電流の記録には,パッチクランプ法のcell-attachedモ-ドを用いた。チャネル電流のコンダクタンスおよび薬物(開口薬:ピナシジル,拮抗薬:グリベンクラミド)感受性からK_<ATP>チャネル電流を同定した。実験は36±0.5℃で行い,プロポフォール(1μM-100μM)はピペット溶液内に加えた。得られた電流からチャネルの開確率(NP_0)を求めることによりK_<ATP>チャネル活性に及ぼすインスリンの影響を検討した。 [結果]Cell-attachedモードでピナシジルにより活性化され,グリベンクラミドで抑制されるK_<ATP>チャネル電流が記録できた。単一チャネルコンダクタンスは36±6pS(n=20)であった。プロポフォールにより有意なピナシジルにより活性化されたK_<ATP>チャネルの開確率の抑制が認められた。同様にInside-outモードおよびOutside-outモードでも有意な抑制効果が認められた。プロポフォールによるK_<ATP>チャネル活性抑制作用は,Wortmannin(PI3K阻害剤),PKC inhibitor,およびPKA inhibitor,およびCytochalasin D(アクチン重合阻害剤)の前処置では影響を受けなかった。 [結論]プロポフォールは直接作用として培養冠動脈平滑筋細胞のK_<ATP>チャネル活性を抑制する可能性が示唆された。
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