2005 Fiscal Year Annual Research Report
人工心肺後の肺血管抵抗上昇に対する有効な薬剤とその分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
17791036
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神田橋 忠 九州大学, 大学病院, 助手 (10335961)
|
Keywords | 人工心肺 / 肺高血圧 / Rhoキナーゼ / 血管平滑筋 / 収縮 |
Research Abstract |
当初の予定通り、等尺性張力測定設備の確立を目指した。 まず最初に、当研究に最適な条件を設定するべく、ブタ摘出肺動脈よりリング標本(約5mm)の作製法を確立させる必要があった。これまで申請者が用いてきた方法を応用した。申請者はこれまでにブタ冠動脈や、今回よりも大口径の肺動脈を用いた等尺性張力測定を行ってきた。今回はさらに細い径での張力測定を行う必要があったためである。そのための張力測定フックや恒温槽を科学研究費にて新たに購入した。 肺動脈は血管平滑筋層が薄く、血管径が細くなるほどその傾向が顕著である。そのため小さな力が加えられるだけでも平滑筋が容易に損傷し、充分な張力を得ることができなくなる。これを回避すべく、最小限の操作で測定装置に懸架できるように技術が習熟するのに4ヶ月半の時間を要した。安定してカリウム投与による等尺性張力が測定できるようになった後、アゴニスト誘発性肺動脈収縮反応を測定した。アセチルコリンに対する肺動脈収縮反応は個体による差が大きく、コントロールとなる収縮を誘発するアゴニストとしては不適当と考えられた。アセチルコリンによる収縮反応は生体内では通常よく認められる反応であるが、個体差のばらつきがあったことに加えて、人工心肺後の肺動脈収縮反応にどの程度関与しているかはっきりとしたエビデンスがなかったため、収縮誘発アゴニストとしてまず、α刺激薬フェニレフリンを考えた。人工心肺後は通常カテコラミンの投与が行われる。その代表がドパミンであり、血行動態制御に関してはα刺激による血圧の維持がもっとも期待される作用の一つである。カテコラミン以外にも、昇圧薬としてフェニレフリンもよく使用されている。今後このフェニレフリンに対する収縮反応をコントロールとしてデータの蓄積を行う予定である。
|