2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791040
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岩崎 竜馬 宮崎大学, 医学部, 助手 (50363578)
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Keywords | パッチクランプ法 / 後根神経節細胞 / NGF / シナプス / 慢性疼痛 |
Research Abstract |
本研究の目的は、神経損傷後の神経の再構築過程において神経細胞間のシナプスがどのような因子でどのように再構築されるかを明確にするために、マウスの生体の後根神経節あるいは個々に摘出した後根神経節細胞のシナプス再形成過程において神経成長因子(NGF)を作用させ、異常なシナプスの形成、およびシナプス間で興奮を増幅するような現象を観察することで、慢性疹痛における異常シナプス形成説を裏付けることである。 方法:各脊髄神経節より個々の神経節細胞を摘出し、NGFを添加した培養液の入った試験管内でシナプスを再形成し、その性状をNGF無添加の培養液中で再形成したシナプスと比較した。形態学的には、鏡見下に神経突起の長さ、数を比較した。電気生理学的には、個々の細胞に微小電極を挿入し、シナプス形成を確認した。さらに、膜電位感受性蛍光プローブD4-ANEPPsを用いて、複数の細胞の興奮性を同時に測定した。 結果:NGFを添加した培養液の入った試験管内でシナプスを再形成した場合、NGFを添加しない場合と比較して70%以上神経突起の成長がみられた。これは神経成長因子の濃度には相関せず、NGFが神経突起の成長にONあるいはOFFのスイッチング作用しか持たないことを示唆していると考察した。電気生理学的、には両群ともに活動電位は発するも、それに対するEPSPsすなはち、シナプス形成はみられなかった。膜電位感受性蛍光プローブD4-ANEPPsを用いての実験は、個々の細胞の膜電位は一定で、活動電位の自発発射は観察されなかった。この理由として、後根神経節細胞は介在ニューロンであるために、シナプス形成能は備わっていないと結論した。
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