2005 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性麻酔薬の神経細胞のフリーラジカルに対する作用の解明
Project/Area Number |
17791043
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
紙谷 義孝 横浜市立大学, 附属病院, 助手 (90381491)
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Keywords | フリーラジカル / 神経細胞 / 虚血耐性 / 吸入麻酔薬 / ATP感受性カリウムチャネル / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
平成17年度はラット大脳皮質一次培養細胞におけるイソフルレンによるフリーラジカルの変動を細胞内蛍光強度の経時的変化として測定でするため、予備的実験として非障害条件下、酸素濃度21%でフリーラジカル種と反応する蛍光プローブを培地に添加し細胞内蛍光強度を測定した。superoxide anionの測定にはdihydroethidium(Hey)を使用した。イソフルランを還流液中に投与した群では対照群よりsuperoxide anionは増加し、ミトコンドリアATP感受性KチャネルであるGlibenclamideを添加液中に添加した群ではフリーラジカルは対照群に比較して減少する傾向が見られた。Glibenclamideを還流液中に添加しておくとイソフルレンによるフリーラジカルの増加は抑制された。以上のことより、イソフルレンはフリーラジカルの増加をもたらすが、ミトコンドリアATP感受性Kチャネルがフリーラジカルの発生に関与している可能性があることがわかった。本実験を行う中で明らかになった問題点は、測定中にピントがずれやすく測定領域の蛍光輝度が経時的に変化してしまうこと、データ量が多いため、実際に測定に要する時間以上にデータ解析に時間を要することである。これらの解決のため簡易型のピント固定器を導入し、データ解析についてはソフトウェアのバージョンを上げることで省力化を図れるものと考えている。また今年度中にイソフルレンのフリーラジカル増加作用に細胞内カルシウムの変動が関与するかどうかを測定するための機器の整備を行った。 平成18年度は、他のフリーラジカル種に対する測定を行い、虚血条件でのイソフルレン投与が虚血耐性を惹起できるかをフリーラジカル種の変動と関連付けて測定する予定である。さらにイソフルレンによるフリーラジカル変動のメカニズムを細胞内カルシウム濃度の変化という点から明らかにする。
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