2006 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックブタを用いた冠動脈攣縮機構の解明と麻酔薬作用に関する研究
Project/Area Number |
17791052
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木本 吉紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20316110)
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Keywords | Rhoキナーゼ / 冠動脈 / 吸入麻酔薬 / 静脈麻酔薬 / 血管平滑筋 |
Research Abstract |
血管内皮細胞を器械的に除去したブタ冠動脈のリング状標本(内径約2mm)で等尺性張力測定の実験を行った。 この実験に置いて、内因性Rhoキナーゼ活性物質であるスフィンゴシルポスホリルコリン(SPC)によるRhoキナーゼを介したブタ冠動脈の収縮(収縮比較対象としてKCIによる最大収縮を用いた)に及ぼす麻酔薬の影響として、セボフルランが濃度依存性にSPCの収縮反応を抑制効果が認められた。静脈麻酔薬のひとつであるプロポフォールは、SPCによるブタ冠動脈収縮に対して、明らかな抑制効果を認めなかった。 つぎに内皮除去ブタ冠動脈冊状標本(幅4mm)に対し、細胞内カルシウム濃度と等尺性張力測定変化の同時測定の実験を行った。(fura-2を用いた血管平滑筋内カルシウム濃度と等尺性張力変化の同時測定)この実験において、SPCはブタ冠動脈平滑筋に対して、細胞内カルシウム濃度を軽度の上昇を伴った血管平滑筋の収縮反応を惹起した。この収縮反応に及ぼす麻酔薬の影響として、セボフルランは、カルシウム濃度の変化に対し、有意な反応は不さなかったが、この収縮において濃度依存性にこの反応の抑制効果を認めた。 つぎに、ブタ冠動脈摘出標本において、内因性Rhoキナーゼ活性物質SPCによるRho A, Rhoキナーゼ活性の測定をウエスタンブロッティング法の実験を行った。 SPCは、ブタ冠動脈血管平滑筋において、Rhoキナーゼの活性化を認めた。このRhoキナーゼの活性化は、吸入麻酔薬セボフルランの前処置により、この反応を有意に抑制した。現在、吸入麻酔薬であるイソフルラン、ハロタンおよび静脈麻酔薬であるケタミンおよびチオペンタールにて同様の実験を行う予定である。
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