2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛モデルにおける感覚神経膜電位変化とそれに及ぼすリドカインの影響
Project/Area Number |
17791054
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
金井 昭文 北里大学, 医学部, 講師 (90286344)
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Keywords | 神経因性疼痛 / リドカイン / 神経細胞膜電位 |
Research Abstract |
研究の目的 本研究の目的は、痛覚過敏やアロディニア(触刺激で痛みが誘発されること)により特徴付けられる神経因性疼痛をラットに発現させ、その摘出坐骨神経の感覚神経細胞膜電位を健康ラットと比較分析することで、神経因性疼痛の病態を電気生理学的角度から明確にすることと、抗不整脈薬リドカインの未だ不明である鎮痛機序を、感覚神経細胞膜電位の分析から検討することである。 本年度の研究実施計画 難治性として知られる神経因性疼痛の発症メカニズムはいまだ不明である。最近、感覚神経細胞内カルシウムの低下が神経の過敏性を亢進させ、神経因性疼痛の発症と維持に関与していることが示唆されている。我々は、ラットの神経因性疼痛モデルと健康ラットの膜電位の間にいくつかの相違点を見つけた。ラットの神経因性疼痛モデルにおいて、細胞内カルシウムの低下により誘発される膜電位変化を発見し、神経因性疼痛に特徴的な神経の過敏性亢進は、これにより引き起こされることを付き止めた。また、最近の米国では新しい抗けいれん薬であるギャバペンチンが神経因性疼痛に有効であることが実験的かつ臨床的に示されており、その作用機序は不明であったが、我々は、これがカルシウムの神経細胞内流入により生ずることを導いた。さらに、神経因性疼痛に対して広く使用されるリドカインの鎮痛作用も同様に達成される可能性が高いことを明らかにした。本年度に於いては、神経因性疼痛モデルに於ける感覚神経膜電位の変化をより詳細に分析するとともに、リドカインの鎮痛機序を感覚神経膜電位の変化から解明することである。
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