2005 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬・鎮痛薬のナトリウムチャネルに対する作用機序及び作用部位の解析
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17791058
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
白石 宗大 産業医科大学, 医学部, 助手 (40389458)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / トラマドール / アルファキサロン / デクスメデトミジン / 電位依存性ナトリウムチャネル / アフリカツメガエル卵母細胞 |
Research Abstract |
電位依存性Na^+チャネル(Na^+チャネル)はニューロンや細胞において活動電位の発生に重要な役割を演じている。近年、吸入麻酔薬などがNa^+チャネルを抑制していることがいくつか報告されており、麻酔鎮痛機序に何らかの影響を及ぼしていると考えられている。我々はこれまでに、吸入麻酔薬がNa^+チャネルを抑制していることを、サブユニット別に詳細に報告してきた。しかし、鎮痛薬や麻酔薬のいくつかはまだそのNa^+チャネルに対する影響が解明されていない。そこで、Na_v1.2とNa_v1.4のサブタイプをそれぞれβサブユニットと共にアフリカツメガエル卵母細胞に発現させて鎮痛薬トラマドールとその代謝物M1、ギャバペンチン、さらには静脈麻酔薬アルファキサロン、鎮静薬デクスメデトミジンの影響を電気生理学的に解析した。結果、鎮痛薬トラマドールとその代謝物M1に関しては、100μMの濃度において有意な抑制を示した。その抑制は吸入麻酔薬が臨床濃度で抑制する値とほぼ同程度であった。別の鎮痛薬ギャバペンチンは10μMの濃度では抑制を示さなかった。ステロイド系静脈麻酔薬であるアルファキサロンは臨床濃度において10-20%の抑制を示した。鎮静薬デクスメデトミジンは軽い鎮静作用のみを現す低濃度では全く抑制を示さなかったが、鎮痛作用の現してくる高濃度では10%程度の抑制を示した。現在までに報告した結果では、どの吸入麻酔薬やアルコールでも同程度な抑制を示したが、今回の結果では鎮痛薬や静脈麻酔薬など薬物によってその抑制の程度は様々であるということが分かった。これらの結果より、今後麻酔鎮痛機序にNa^+チャネルがどのような役割を演じているのかを解明する助けとなると考えられる。以上までの内容は現在投稿準備中である。今後は脊髄後根細胞にて、パッチクランプ法やカルシウム画像解析法を用いて実際の細胞活動に及ぼす影響を観察していく。
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