2006 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管に特異的に発現するペプチド配列に対する抗体作製とその臨床的意義の検討
Project/Area Number |
17791080
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮田 康好 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60380888)
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Keywords | 血管新生 / matrix metalloproteinases / 腎細胞癌 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
腫瘍血管に特異的な配列に対する抗体を独自に作製し、現在それらの抗体の特性を確認している。その一部については人の膀胱癌組織における発現を検討している段階である。その作業と同時に、血管内皮細胞の増殖や遊走との関連が知られている既知の蛋白のうち、癌細胞の直接浸潤と関連しているmatrix metalloproteinases (MMPs)に注目し検討を進めてきた。現在までに25種類以上知られているMMPsのなかで、腫瘍細胞の浸潤や血管新生との関連が知られているMMP-2、-7,-9,-10について腫瘍血管が豊富である腎癌組織において検討しいくつかの新しい知見を得た。 MMP-2:腎細胞癌、前立腺癌、尿路癌のすべてにおいて癌細胞に高発現しており、浸潤との関連を認めた。しかし、血管内皮細胞での発現は認めなかった。MMP-9についても同様の傾向を認めた。 MMP-7:腎細胞癌の癌細胞自体に高発現し浸潤と関連することを臨床検体における検討で見出した。さらに、癌組織内の血管内皮細胞にMMP-7が発現している一方で、正常腎組織における血管内皮細胞ではMMP-7が発現していないことを見出した。このことは、MMP-7が腎癌組織における血管新生と直接的に関係している可能性を示すものである。また、臨床検体による検討で、MMP-7を発現している新生血管の密度が転移の頻度と関連することがわかった。以上から、MMP-7は腎癌の浸潤と転移を抑制する上で重要な治療標的となりうる可能性があると考えられた。 MMP-10:腎癌細胞に高発現し、悪性度や浸潤との関連を認めた。また、その発現が腫瘍内血管密度と関連することがわかった。しかし、血管内皮細胞への発現は確認できなかった。 今後は、独自に作成した抗体を用いた検討と、前立腺癌や尿路癌における検討を継続していく予定である。
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Research Products
(1 results)