2005 Fiscal Year Annual Research Report
HIF2αによるヒト腎細胞癌の増殖機構の解析と新規治療薬の開発
Project/Area Number |
17791081
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
近藤 慶一 横浜市立大学, 市民総合医療センター病院, 準教授 (80363836)
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Keywords | 癌 / 腎臓 / 低酸素 / HIF / 環境応答 |
Research Abstract |
近年、癌の分子生物学的な手法を用いた研究が活発に行われてきました。腎細胞癌においても研究の結果、その約7から8割を占める淡明細胞型腎癌でvon Hippel-Lindau (VHL)腫瘍抑制遺伝子の機能が失われていることが報告されました。この機能の欠損により低酸素誘導因子(Hypoxia inducible factor/HIF)のαサブユニットが細胞内に蓄積し、様々な増殖因子を誘導していることが判明しました。 しかしHIFαそのものは不可解な分子で、ある腫瘍では増殖を誘導し、別の腫瘍ではアポトーシスを誘導します。この現象についてはその分子種による効果の差であるという可能性が示唆されていました。 今回当研究者はHIFαがその分子種によって腎癌細胞に対して増殖及びアポトーシスを誘導できるかについて検討を試みました。最初にHIF1αとHIF2αの機能の差を見る目的でそれぞれの分了種に対するshRNA発現ベクターを作製しました。このベクターに用いられたsiRNAの塩基配列の一部は既に効果が確認されており、これらをレトロウイルス型のベクター(pMSCV-retrovirus vector)に導入しました。同時にヒトには存在しない蛍光遺伝子ルシフェラーゼに対するsiRNAと全くランダムに、ヒトにはない配列として作製されたスクランブルsiRNAをコントロールとして同様にベクターに導入しました。現在これらのベクターを用いて安定的にsiRNAを発現させるウイルスを作製し、これらを腎細胞癌株(ACIIN,UMRC6)に感染させる実験を行っています。
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