2005 Fiscal Year Annual Research Report
正常および過活動膀胱におけるc-kit陽性間質細胞機能の研究
Project/Area Number |
17791085
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
窪田 泰江 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00381830)
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Keywords | 膀胱 / c-kit / BOO |
Research Abstract |
約350-450g大の雌モルモットの尿道に細径カテーテルを入れた後、下腹部切開を加え、膀胱頚部を結紮することにより、排尿可能な程度の尿流出路閉塞(Bladder outlet obstruction : BOO)モデルを作製した。術後2週後にモルモットを代謝ケージに入れ換え、1回排尿量、排尿回数を24時間モニターし、コントロール群と比較した。また摘出した膀胱から約3×7ミリ大の平滑筋条片を作成し、等尺性張力測定を行った。術後1から3ヶ月の時点で、麻酔下・覚醒下での膀胱内圧測定も行った。c-kit陽性細胞の量的変化については、c-Kit(C-19:sc-168)抗体を用いた免疫組織化学染色、蛍光抗体法により検討した。 BOOモデルでは排尿障害が生じ、コントロール群と比較して1日あたりの排尿回数が増加し、1回排尿量は減少した。膀胱重量も長期経過した群では正常と比較して増加しており、特に粘膜下層の肥厚が観察された。摘出した膀胱平滑筋を用いた張力測定では、正常膀胱でも平滑筋の自発収縮がみられた。この平滑筋の自発収縮の振幅は、BOOモデルにおいて術後経過期間が長いほど小さくなる傾向にあった。膀胱内圧測定ではBOOモデルにおいて、排尿記録からも観察されたような膀胱容量の低下がみられ、排尿前の不随意収縮が増加する傾向があった。また蛍光抗体法により観察されたc-kit陽性間質細胞は、BOOモデルの粘膜下層において特に増加していることが観察された。 以上のことから、粘膜下層に増加したc-kit陽性細胞が、過活動膀胱の病態において何らかの役割を果たしていることが推察された。
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