2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791095
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 陽子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (50398963)
|
Keywords | 脂質 / 酵素 / 発生・分化 / 精子形成 / 代謝 |
Research Abstract |
精巣内で精子形成に必要なandrogenの生成のため、マウスやラットなどのげっ歯類でΔ^4pathwayを使用し、ヒトで主にΔ^5pathwayを用いることが知られている。しかしながら、我々は今までに造精機能障害を示す精巣において、正常なヒト精巣では産生されにくいΔ^4-C_<21>ステロイドの産生を多く認め、ホルモン代謝過程に異常が起こっている可能性を示唆してきた。本研究では、血清中のT濃度が正常範囲を示す造精機能障害症例を対象に、精巣内でΔ^4-C_<21>ステロイドを代謝物として含むandrogen代謝過程を明らかにし、代謝経路の変更による造精機能への影響を探ることを目的とした。今年度は、主として代謝実験を行い、以下の結果を得た。 血中T濃度が正常な患者の造精機能障害を示す精巣及び精子形成の良好な精巣のcell homogenateを調整、遠心後上清をサンプルとした。サンプルに^<14>Cでlabelしたpregnenolone, progesteroneを基質とし補酵素を加えin vitro代謝実験を行った。代謝物は、薄層chromatography(TLC)にてベンゼン:アセトン=4:1溶媒にて分離した。それぞれの代謝混合物をさらに分離する再TLCの溶媒条件を設定した。最終的に3rdTLC上で分離した代謝物をシリカゲルから抽出し、酸化、アセチル化、再結晶法により同定を行った。代謝実験の結果、造精機能障害を示す精巣では、精子形成が良好な精巣と比較すると、progesteroneが約4倍多く代謝されていること、正常な精子形成を示す精巣ではほとんど代謝されない17αhydroxyprogesteroneが非常に多く代謝されることが明らかとなった。さらに、今までヒト精巣で代謝されると報告があるステロイドとは、異なる代謝物が生成されている可能性があることが明らかとなった。今後はこの代謝物の解析を行うとともに、代謝経路に関わる代謝酵素の増減も含めて検討を行っていく予定である。
|