2005 Fiscal Year Annual Research Report
大脳上位における排尿知覚中枢および排尿機能への影響
Project/Area Number |
17791097
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松本 成史 近畿大学, 医学部, 講師 (10288912)
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Keywords | 大脳上位 / 排尿知覚中枢 / 排尿機能 / 前部帯状回 |
Research Abstract |
大脳が尿禁制に関わっていることは広く知られている。近年の画像診断の発達により、健常人における大脳上位中枢と膀胱機能の関連について検討がなされ、橋、中脳中心灰白質(PAG)や前部帯状回(anterior cingulaten cortex ; aCGC)等の部位が蓄尿や尿意に関わっていることが報告されている。これより、われわれは大脳上位の中でaCGC領域が排尿知覚中枢を担っていると考え、実験的な検証とそのモデル作成のために、今年度はまずその部位の破壊モデルを作成し、破壊前後の排尿反射の変化を検討した。Sprague Dawley系雌性ラットを、ウレタン麻酔下に経尿道的カテーテルを留置し膀胱内圧を測定した。その後、脳定位固定装置に固定し、aCGC領域にイボテン酸を注入した群(aCGC破壊群)と、生理食塩水を注入した群(sham群)を作製した。1週間経過後、再度前述と同様の手技で麻酔下に膀胱内圧を測定し、手術前後での各排尿パラメーターで検討した。病理組織学的に破壊部位を確認し、aCGC破壊群(n=7)とsham群(n=4)に分類した。排尿間隔はaCGC破壊群で有意に延長した。しかし、sham群では有意な変化を認めなかった。一方、排尿時膀胱内圧は両群ともに破壊前後で有意差を認めなかった。これらの結果よりaCGC領域は排尿の閾値、排尿知覚に強く関連していると考えられ、この部位そのものが排尿知覚中枢である可能性、または排尿知覚として神経経路が存在する可能性が示唆された。このpreliminary dataは、Neuroscience Researchに受理された。今後、さらに大脳破壊モデルでの検証を施行し、薬物不可での変化や大脳興奮モデルでの同様の実験を施行していく予定である。
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