2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウスおよびヒト加齢卵子におけるオーロラ蛋白およびミトコンドリアの機能変化の解析
Project/Area Number |
17791099
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
渡邉 誠二 弘前大学, 医学部, 助手 (10241449)
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Keywords | 卵子 / 染色体 / 加齢 / 微小管 |
Research Abstract |
本研究はヒト卵子における加齢現象と細胞周期蛋白、細胞骨格およびミトコンドリア機能との関連を明らかにすることを目的としている。実施初年度である17年度は、マウス卵子を用いて加齢によって細胞骨格およびオーロラ蛋白の分布に変化が生じ、それが染色体異常の増加につながるか否かを検討する予定であった。しかし、協力病院でのヒト未成熟卵子(GV卵子)の入手が早期に可能となったためこれを体外培養して得られる体外成熟卵子(IVM卵子)を用いて当初の実験を行うこととした。具体的には、(1)ヒトGV卵子の体外培養法の検討、(2)IVM卵子で染色体異が増加しているか、(3)染色体異常と細胞骨格との関連性はあるか、の3点である。ヒトGV卵子は採取後HTF溶液で24〜30時間培養することで容易に成熟した。これらのIVM卵子の染色体を分析したところ数的異常や構造異常の増加は認められなかったが、姉妹染色分体が早期に分離するのが観察された。この現象は受精後の第二成熟分裂時に異数性を引き起こす可能性があり、結果として異数性胚形成の原因となりうる。このような染色体異常となる可能性がある染色体構造の変化には種々の細胞周期蛋白が関与しており、それらが細胞骨格との連携により染色体への集積と拡散を繰り返すことが予想された。そこで、あらかじめGV卵子を微小管重合阻害剤で2時間処理した後に体外培養を行ったところIVM卵子での姉妹染色分体早期分離の頻度が有意に低下した。したがってGV期における微小管の分布が成熟後のMII期の姉妹染色分体の接着に関与することが明らかになった。現在は蛍光免疫染色によりこの微小管分布の変化を視覚的に明らかにすることを目的に染色法の改良を行っている。今回確立した微小管阻害と染色体分析を組み合わせた解析法を加齢卵子に用いることにより加齢に関与する因子を直接的に検索できる可能性が高く、次年度に向けて展望が得られた。
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