2005 Fiscal Year Annual Research Report
Tissue-FISHによる新しいテロメア長測定法の開発と婦人癌早期診断への応用
Project/Area Number |
17791107
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
毎田 佳子 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (20397219)
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Keywords | テロメア / 子宮頚癌 / 子宮体癌 |
Research Abstract |
テロメアは染色体末端の保護・安定化に関わる。テロメア長の短縮は染色体不安定化により発癌に寄与している可熊性がある。我々はFISH法を応用してパラフィン切片上の個々の細胞におけるテロメア長をin situにて評価する方法(telo-FISH)を開発し、子宮頚部および子宮内膜の癌化過程におけるテロメア長の変化について検討を行った。 1.Telo-FISH法の開発 ホルマリン固定したパラフィン包埋切片を脱パラフィン後、クエン酸による前処理を行い、Cy3ラベルしたテロメア相補的プローブを用いてin situ hybridizationに供した。DAPIにより核染を施した後、Cy3シグナルおよびDAPIの蛍光強度を蛍光顕微鏡および蛍光強度解析システム(Openlab)を用いて定量した。個々の細胞について、核内のCy3シグナル値をDAPI測定値で除してtelomere intensity(TI)を計算した。 2.細胞株を用いての予備実験 従来、テロメア長の評価はSouthern blot法を基にしたTelomere Restriction Fragment (TRF) analysisにより行われていた。3種類の子宮癌細胞株をヌードマウスに接種して皮下腫瘍を形成させ、摘出した腫瘍をTRFおよびtelo-FISHに各々供した。Telo-FISHにより求めたTI値とTRFによるテロメア長測定結果には有意な正の相関を認め(R^2=0.99)、telo-FISHによりテロメア長の定量的評価が可能であることが示された。 3.臨床検体を用いたtelo-FISHによるテロメア長の解析 子宮頸部および子宮頚内膜について、正常組織/前癌病変/癌病変の生検、手術検体を用いてtelo-FISHによるテロメア長の解析を行った。子宮頸部前癌病変であるCIN1およびCIN2では正常上皮に比べ病変部のTI値が有意に低下しており、その傾向はCIN2で最も顕著に表れていた。CIN3および頸癌のTI値は、正常上皮より短い傾向にあるものの、有意な低下には至らなかった。一方、子宮内膜では前癌病変である内膜増殖症のTI値は正常内膜と有意差がなかった。内膜癌のTI値は正常内膜に比べ低い傾向にあったが、有意差は認めなかった。 現在、癌化過程における染色体不安定性とテロメア長との関連について検討を続けている。
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