2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791109
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
折坂 誠 福井大学, 医学部, 助手 (80324143)
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Keywords | 生殖 / 卵巣 / 卵胞 / 莢膜細胞 / 顆粒膜細胞 / 細胞間相互作用 / 共培養 |
Research Abstract |
卵胞周囲への莢膜細胞層の出現を境に、卵胞は発育の速度を増し、ゴナドトロピンに対する反応性を獲得する。すなわち、"卵胞周囲への莢膜細胞の出現"は、卵胞発育の鍵となる生命現象と考えられるが、この細胞出現メカニズムは明らかでない。当該研究者らは、"顆粒膜細胞からのシグナルが、卵巣間質細胞を莢膜細胞に機能分化させる"と仮説した。平成17年度は、当該研究者らが開発した上皮-間質細胞共培養システムを用いながら、顆粒膜細胞との共培養による間質細胞(皮質あるいは髄質)の機能・形態変化を、以下の項目について検討した。 (1)間質細胞の形態変化 顆粒膜細胞との共培養により、間質細胞内の脂肪滴およびミトコンドリア数が増加した。この結果は、顆粒膜細胞からのシグナルにより、間質細胞がステロイド産生細胞へ形態変化した可能性を示唆する。 (2)間質細胞のアンドロゲン産生能の変化 単独培養では見られなかった間質細胞からのアンドロゲン産生が、顆粒膜細胞との共培養により有意に上昇した。すなわち、顆粒膜細胞からのシグナルが、間質細胞における(1)アンドロゲン産生の材料を供給した、(2)アンドロゲン産生因子の転写活性を賦活化した、などの可能性が推測される。 (3)間質細胞におけるアンドロゲン産生因子のmRNA発現の変化 顆粒膜細胞との共培養が、間質細胞における種々のアンドロゲン産生因子(莢膜細胞のマーカー;CYP17,CYP11A,3β-HSD,StAR,SF1,LH receptor)のmRNA発現に及ぼす影響を、皮質あるいは髄質由来の間質細胞を用いて検討した。髄質では顆粒膜細胞の影響を認めなかったが、皮質では顆粒膜細胞の存在により間質細胞のLH receptor mRNA発現が有意に増強した。この事実は、顆粒膜細胞からのシグナルが、皮質由来の間質細胞においてゴナドトロピン(LH)反応性獲得を誘導する可能性を示唆する。
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