2005 Fiscal Year Annual Research Report
正常子宮内膜及び子宮内膜癌の血管新生におけるVEGFとSemaphorinの役割
Project/Area Number |
17791111
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大平 哲史 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (90397315)
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Keywords | Semaphorin(SEMA) / VEGF / 子宮内膜 / 子宮内膜癌 / VEGF / SEMA比 |
Research Abstract |
【目的】正常子宮内膜の月経周期における血管新生調節機序はいまだ解明されておらず、内膜におけるVEGFの周期性変化の有無についても結論は得られていない。また子宮内膜癌の腫瘍血管密度が癌の増殖と関連することは知られているが、血管密度とVEGFがどのような相関を示すかについても解明されていない。そこで我々は、VEGFと受容体を競合することで拮抗し、血管新生に対して抑制的に作用するSemaphorin(SEMA)に着目し、VEGFとSEMA、両者の発現を捉えることでこれらの疑問を説明することを試みた。【方法】正常内膜55例、内膜癌66例の蛋白発現を免疫組織学的に検討し、特にVEGF/SEMA比に着目した。正常内膜においては血管内皮細胞のKi67標識率を、内膜癌においては微小血管密度を求め、血管新生の指標とした。【結果】(1)正常内膜では内膜間質のVEGF/SEMA比が増殖期で高く、分泌初期・中期で低下しており、血管内皮細胞のKi67標識率と同様の傾向を示した。さらにはSEMAおよびVEGFそれぞれの受容体であるNRP1、VEGFR2発現も血管内皮細胞において同様の発現傾向であった。(2)内膜癌では組織gradeが高くなるに従い腫瘍細胞のVEGF/SEMA比は高くなり、微小血管密度も上昇していた。【結論】正常内膜においては間質細胞のVEGF/SEMA比が重要であり、血管内皮細胞の受容体発現とも同調し血管新生を調節していると考えられた。また内膜癌では腫瘍細胞のVEGF/SEMA比が癌の血管新生亢進に関与していることが示唆された。
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