2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791121
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田村 博史 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50379947)
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Keywords | 卵の質 / 活性酸素 / メラトニン / 卵胞液 |
Research Abstract |
卵胞内においてメラトニンが活性酸素種による酸化ストレスから卵を保護しているかどうかを検討するため以下の検討を施行した。 1.体外受精胚移植において、採卵時に卵胞穿刺を行い卵及び卵胞液を吸引し、卵を採取した残りの卵胞液を研究に供する。卵胞液は遠心処理にて血球成分を除去した後、メラトニン濃度および性ステロイド濃度(estradiol、testosterone、progesterone)をRIA法にて測定し、酸化ストレスの指標として8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)濃度をELISA法にて測定した。これらの因子と卵のgrade、受精率、妊娠率との関連性を検討した。卵胞液中のメラトニン濃度および8-OHdG濃度と卵のgrade、受精率、妊娠率には相関を認めなかったが、メラトニン濃度とprogesterone濃度に有意な正の相関を認めた。また卵胞液中のメラトニン濃度と8-OHdG濃度に負の相関を認め、メラトニンが酸化ストレスの消去に関与している可能性が示唆された。 2.3週齢雌マウスにpregnant mare serum gonadotropin(PMSG)を投与し、48時間後に卵巣を摘出し、実体顕微鏡下にcumulus-oocyte complexを採取する。Hyarulonidaseで処理した後、パスツールピペットを用いてdenuded oocyteを分離採取する。培養液中でdenuded oocyteを培養し、12時間後にgerminal vesicle break down(GVBDの頻度、第一極体放出の割合、形態学的評価を行った。30.2%の卵において第一極体の放出を認め、11.3%の卵において変性を認めた。この培養系を用いて、H2O2やメラトニンを添加し、活性酸素種やメラトニンの卵に対する直接作用を検討する予定である。 3.メラトニン投与により卵の質に改善がみられるかどうかを検討するため、体外受精胚移植患者にメラトニン錠(3mg/日)を内服していただき、採卵時に卵胞液を採取した。症例の蓄積を待って、卵胞液中のメラトニン、性ステロイド、8-OHdG濃度を測定し、卵のgrade、受精率、着床率、妊娠率との相関を検討し、メラトニン非投与周期と比較検討する予定である。
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