2005 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤形成を制御し、癌抑制機能をもつ新規遺伝子NECC1の解析
Project/Area Number |
17791124
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浅野間 和夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30380413)
|
Keywords | 胎盤 / 栄養膜細胞 / ノックアウトマウス / 分化 |
Research Abstract |
1.マウス胎盤形成におけるNECC1の関与:野生型マウスの胎盤におけるNECC1の発現は胎齢8.0日から9.5日にかけ栄養膜巨細胞層、海綿状栄養膜細胞で一過性に発現し胎齢11.5日には発現が消失していた。NECC1欠失変異マウスの胎盤は胎齢9.5日より11.5日にかけ栄養膜巨細胞層の過形成と海綿状栄養膜細胞層、栄養膜迷路層の低形成を認めこの傾向は胎齢が進むにつれて顕著になった。この結果はNECC1が栄養膜細胞の巨細胞への分化を抑制することを示唆している。 2.マウス栄養膜細胞におけるNECC1の作用:ラットの絨毛癌細胞株Rcho-1とマウスの栄養膜幹細胞(TS)をin vitroで分化させるモデルを検討したところいずれでも未分化状態ではNECC1を発現しておらず、分化の初期に一過性の高発現を呈し、速やかに発現消失した。Rcho-1とTSにNECC1を遺伝子導入し、分化刺激を与えるといずれも巨細胞への分化において抑制効果を認めた。また未分化維持状態でTSにNECC1を過剰発現するとそれだけで海綿状栄養膜細胞のマーカーを発現するようになった。これらの結果よりNECC1は栄養膜細胞を海綿状栄養膜細胞へ分化促進するとともに巨細胞への分化を抑制することが示唆された。 3.NECC1のシグナル:NECC1が相互作用し、抑制する転写因子SRFの標的となる遺伝子プロモーターを有するレポーターを用いてルシフェラーゼ解析を行った。分化刺激によってSRF活性は一過性に急上昇したが、NECC1の発現上昇に同調して低下した。またRcho-1に優性ネガティブSRFを導入し分化刺激を与えるとNECC1導入細胞と同様、分化抵抗性を示した。これらの結果はSRFが栄養膜細胞の巨細胞への分化促進因子で、NECC1はSRFの活性を抑制することで栄養膜細胞の分化を負に調節していることを示唆している。
|
Research Products
(2 results)