2005 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化を介した哺乳動物精子capacitationの調節メカニズムの解明
Project/Area Number |
17791134
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 達也 自治医科大学, 医学部, 助手 (90348003)
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Keywords | 精子 / 超活性化 / リン酸化 / プロテインフォスファターゼ |
Research Abstract |
【目的】精子の運動性・受精能力の獲得は、Ca^<2+>やcAMP、Aキナーゼによるタンパク質リン酸化によって調節されている。従って、これらリン酸化タンパク質のリン酸化・脱リン酸化を引き起こすキナーゼ・フォスファターゼを検索することにより、精子の受精能獲得を調節するリン酸化経路を明らかにすることを目的とした。今回はプロテインフォスファターゼ(PP)阻害剤の精子超活性化に対する影響を検討した。 【方法】成熟雄ハムスター精巣上体尾部より精子を採取し、m-TALPを用いて超活性化を誘起した(コントロール)。位相差顕微鏡下に精子運動を観察し、精子運動率ならびに超活性化率の変化を解析した。さらにPP阻害剤(オカダ酸・カリキュリンA)を添加し、精子の運動率・超活性化率の変化をコントロールと比較した。なお、オカダ酸・カリキュリンAはともにPP1およびPP2Aの阻害剤であり、IC50はオカダ酸(PP1:10-15nM,PP2A:0.1nM),カリキュリン(PP1:2nM,PP2A:0.5-1.0nM)である。 【結果】精子運動率はコントロール精子とPP阻害剤添加精子ともに運動開始から90%を超え、差を認めなかった。超活性化はコントロール精子では約3時間で完了した。しかしながらオカダ酸添加精子では10nMおよび0.1nM添加ともに、またカリキュリンA添加精子においても2nMおよび0.5nM添加ともに約2時間で完了した。 【結論】今回の実験からPP阻害剤を添加することにより、精子超活性化が早まることが明らかとなった。さらにPP2のIC50濃度でも超活性化が早まっており、精子超活性化にはPP2Aが関与していることが示唆された。今後、超活性化を早めたPP阻害剤添加精子のタンパク質を抽出し、ウエスタンブロッティングにより精子タンパク質のリン酸化の変化を確認、さらに抗PP1・抗PP2A抗体による精子の免疫染色にてPP1およびPP2Aの局在を確認する予定である。
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