2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト卵子の老化を引き起こす卵胞液ストレス物質の同定
Project/Area Number |
17791148
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
岩崎 稚子 国立成育医療センター(研究所), 研究所長付, 共同研究員 (50349560)
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Keywords | 卵胞液 / ストレス / 不妊 / 老化 / プロテオミクス |
Research Abstract |
ミトコンドリア活性を指標として異なる年齢の患者より得た卵胞液中で顆粒膜細胞を培養したところ、高齢患者から得た卵胞液中の顆粒膜細胞で明らかにミトコンドリア活性が低下し、加齢により何らかのストレス物質が卵胞液中に蓄積している可能性が示唆された。卵胞液中には様々なストレス物質が含まれることが予想されるが、その実体については解明されていない。そこで、本研究では卵子の質に影響を与えるストレス物質を明らかにするため、ヒト卵胞液の生化学的分画を試み、卵子の老化との因果関係について検討した。 不妊患者の卵巣より卵子を回収する際に副産物として卵胞液を採取した。各卵胞液のストレスを測定するため、卵胞液の抗酸化ストレス力(antioxidant power assay kit、Randox Inc)および卵胞液で直接培養した顆粒膜細胞株(KGN細胞)のミトコンドリア膜電位の変化を測定した。これら2種類のアッセイの結果から、ストレスの強い老化サンプルと、ストレスの弱い若齢サンプルを選別した。これらのサンプルをゲル濾過クロマトグラフィーにより分画し、それぞれの画分中でKGN細胞を培養してミトコンドリア膜電位の変化を明らかにした。ほとんどの画分のミトコンドリア膜電位はほぼ同じであったが、一部正反対に分かれる画分が現れた。この画分の分子量は1000以下の非常に小さい分子であることから、タンパク質ではない可能性も考えられる。また、この反応は卵胞液よりアルブミンおよびIgGを除去した場合にも認められた。以上の結果から、今後同画分に含まれる標的分子が脂質である可能性も視野に入れ検討を進めていく。さらに、サンプルの凍結融解や分画によりストレス関連物質の物理的損傷の可能性も考えられるため、現在卵胞液サンプルを直接プロテオミクス解析するための条件設定を進めている。
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