2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト卵子の老化を引き起こす卵胞液ストレス物質の同定
Project/Area Number |
17791148
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
岩崎 稚子 国立成育医療センター(研究所), 研究所長付, 共同研究員 (50349560)
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Keywords | 不妊 / 卵胞液 / ストレス / 老化 |
Research Abstract |
ミトコンドリア活性を指標として異なる年齢の患者より得た卵胞液中で顆粒膜細胞を培養したところ、高齢患者から得た卵胞液中の顆粒膜細胞で明らかにミトコンドリア活性が低下し、加齢により何らかのストレス物質が卵胞液中に蓄積している可能性が示唆された。卵胞液中には様々なストレス物質が含まれることが予想されるが、その実体については解明されていない。そこで、本研究では卵子の質に影響を与えるストレス物質を明らかにするため、ヒト卵胞液の生化学的分画を試み、卵子の老化との因果関係にっいて検討した。HPLCゲル濾過分画により比較的ストレスの強い画分を選別することに成功したが、非常に小さい分子であることが推測され、ストレス物質がタンパク質やペプチドではない可能性が強く示唆された。そこで、ストレス画分に存在する物質が過酸化脂質である可能性について検討したが、現在までこれを支持する結果は得られていない。今後、脂質等の除去によりストレス物質が保持されるかどうか検討する。 一方、男性不妊患者の卵胞液における抗ストレスカアッセイにより、ストレスを強く受けたサンプルとストレスを受けていないサンプルを選別し、各患者の顆粒膜細胞における老化マーカーの選別に成功した(投稿中)。これらの分子マーカーは、少なくとも過酸化水素水により顆粒膜細胞株において発現誘導されることが明らかになった。今後、これらの分子がストレス画分により誘導されているかどうか検討する。
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