2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト卵子の老化を引き起こす卵胞液ストレス物質の同定
Project/Area Number |
17791148
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
岩崎 稚子 National Research Institute for Child Health and Development, 研究所長付, 共同研究員 (50349560)
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Keywords | 不妊 / 卵胞液 / ストレス / 老化 |
Research Abstract |
卵胞液は卵子が成熟する過程で卵胞内に蓄積し、卵子や顆粒膜細胞の質に影響を与える重要な役割を担っている。不妊症患者の卵胞液中に含まれる様々な因子が、妊孕性の低下と深く関わっていること考えられるが、その実体については解明されていない。本研究では、不妊症患者より採取した卵胞液中で顆粒膜細胞を培養し、高齢不妊症患者から得た卵胞液中の顆粒膜細胞で明らかにミトコンドリア活性が低下し、加齢により何らかのストレス物質が卵胞液中に蓄積している可能性が示唆された。そこで、ヒト卵胞液の生化学的分画を試み、卵子の老化との因果関係について検討した。HPLCゲル濾過分画により比較的ストレスの強い画分を選別することに成功したが、非常に小さい分子(MW1,000>)であり分子の同定には至っていない。しかしながら、ミトコンドリア膜電位の変化を促進し、細胞機能に影響を与える重要な因子である可能性が示唆された。 一方で,男性不妊患者の卵胞液における抗ストレスカアッセイにより,ストレスを強く受けたサンプルとストレスを受けていないサンプルを選別し,各患者の顆粒膜細胞における老化マーカーの選別に成功した。顆粒膜細胞株において過酸化水素水やFSHなどで刺激を加えたところ,老化マーカーは強く発現亢進されることが明らかになった。現在,卵胞液画分が老化マーカーの発現を変化させるかどうか検討を進めているが,生殖細胞の老化を示す上で,非常に重要なマーカーとなるであろう。
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