2006 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸器系ウイルス感染に伴う急性中耳炎の病態と治療法に関する研究
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17791153
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢野 寿一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (20374944)
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Keywords | 急性中耳炎 / 呼吸器系ウイルス感染症 / ウイルス分離 |
Research Abstract |
小児急性中耳炎患児のウイルス検索を17年度に引き続いて行い、小児急性中耳炎への呼吸器系ウイルスの関与について検討した。 10歳以下の急性中耳炎患児1092症例(男児647例、女児445例、平均1.35歳)を対象とし、鼻咽腔拭い液および中耳貯留液を検体に細菌、ならびにウイルスの分離を試みた。インフルエンザ、RS virus感染症、Adenovirus感染症が疑われる症例には適宜、迅速診断キットを補助的に用いた。発熱の有無、病日、鼓膜スコアーと、細菌、ウイルス分離との関連を検討した。 鼻咽腔拭い液から細菌のみ検出された症例が60%、ウイルスのみ5%、細菌+ウイルス28%であった。一方、中耳貯留液からは、細菌のみ40%、ウイルスのみ7%、細菌+ウイルス3%であった。鼻咽腔拭い液からウイルスが検出された症例は382例で、主な内訳はRS virus157例、influenza virus88例、adenovirus65例、cytomegalovirus26例、parainfluenza virus21例などであった。中耳貯留液からのウイルス検出は104例で、RS virus43例、influenza virus29例、adenovirus13例、parainfluenza virus6例などであった。 発熱との関係では、熱が高いほどウイルスの検出率が上昇し、39℃以上の症例では、鼻咽腔拭い液と中耳貯留液からの検出率はそれぞれ45%、12%であった。また、ウイルス検出は7病日以内に集中したが、細菌分離は幅広い病日に分布していた。中耳貯留液から細菌が分離された例、特にウイルスと細菌が同時に検出された例は、ウイルスのみ検出される例より鼓膜スコアーの高く、重症例が多くみられた。 早期で熱の高い症例を中心に、種々の呼吸器系ウイルス、特にRS virusが急性中耳炎に関与していることが明らかとなった。
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