2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 美和子 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00376435)
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Keywords | 喉頭 / 声帯の層構造 / イヌ喉頭 / 3D再構成 / ハイスピード撮影 / 音声外科的治療 / コラーゲン注入 / 声門上発声 |
Research Abstract |
声門上の喉頭機能解明のため、最初にイヌ喉頭から連続切片を作成し、組織標本の画像をコンピュータへとりこみ画像データを完成させた。喉頭の組織標本より、声帯の層構造を詳細に検討し、cover, body,軟骨の形態を把握した。さらに、画像データから、イヌ喉頭の3D画像をCADを用いて再構成し、喉頭の構造の理解を深めた。3D画像より、喉頭を固定し、組織標本を作製する過程において、標本に大きなひずみが生ずることが明らかとなり、その様子を視覚的に表現することに成功した。 次に、実際のイヌの喉頭を観察する方法を検討した。経鼻ファイバー接眼部に3CCDカメラを装着して、さらに携帯用のビデオカメラに接続し、記録可能な設備を整えた。ビーグル犬3歳オスを用いて、まず、プロポフォールを静脈注射し十分鎮静し、経口挿管した。静脈麻酔と笑気、セボフルレンのガス麻酔と併用にし、一旦人工呼吸器管理とした。麻酔を深くし、Ventilatorによる人工呼吸が安定したところで、犬の鼻腔より径3.5mmの軟性ファイバーを挿入し、喉頭の位置を確認した。喉頭所見を詳細に得るために、麻酔を浅くし、自発呼吸が安定したところで、抜管した。抜管すると喉頭内でのワーキングスペースが広くなり、先に挿入した喉頭ファイバーで声帯を中心に撮影した。イヌ喉頭はヒトと比較して披裂部が非常に大きく、声門閉鎖のために有利な構造であることが判明した。 更に、ヒトでの声門上の喉頭機能の解析目的に、発声時のハイスピード撮影を行い、声帯振動の様式を検討している。実際に声門上が音源となっている発声状態をハイスピード撮影し、音源が披裂部や仮声帯にあるケースを認めた。臨床上において、声門上に音源を持つ症例にコラーゲン声帯内異物挿入術を施行し、音声の改善の一助となっているが、治療の前後での臨床検査所見を検討し、高速度デジタル撮影法を用いて声帯振動の変化や音源の位置を把握することで、声門上の機能を考察し、現在Auril Nasal Larynx誌、Annalus ot Otolaryngologyへ投稿中である。
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