2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791169
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平海 晴一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10374167)
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Keywords | 脳磁場計測 / 聴覚の情景分析 / 背景雑音 / 複合音 |
Research Abstract |
脳磁場計測により、聴覚の情景分析の中枢機構を、時間成分と周波数成分の二つの面から研究した。 1)変調した背景雑音の効果 白色雑音をマルチトーカーバブルと同一の周波数分布を持つようにフィルタリングした音(以下スピーチノイズ)と、スピーチノイズを周波数変調した音(以下変調ノイズ)を背景雑音として純音を提示し、その閾値を求めた。従来の聴覚心理学的検査による報告どおり、変調ノイズでは閾値はスピーチノイズに比べて低下しており、マスキング解除を認めた。続いて変調ノイズ下での閾値-5 dB,+5 dB,+15 dB,+25 dBの音を提示し、それに対する聴性誘発脳磁場を計測した。閾値周辺では変調ノイズ下での反応がスピーチノイズ下での反応より大きくなっており、聴覚心理学的検査に一致する所見で、背景雑音の周波数変調によるマスキング解除を客観的に評価することができた。また、聴覚心理学的な方法では評価困難な閾値上の音圧に関しては、閾値周辺とは逆にスピーチノイズ下での反応が大きくなっていることがわかった。 2)複合音に対する反応 複合音に対する反応を調べるために、まず無限音階を利用した複合音を作成、同一の音が異なった高さで認知されるパラダイムを作成した。この二つの音に対する聴性誘発脳磁場は、大きさ・位置とも差がなく、複合音における音の高さの認知はさらに高次で認識されていることがわかった。また、複合音の特徴であるハーモニックを構成する音と、ひとつの成分のみをわずかに変調した音を比較し、その聴性誘発脳磁場を計測した。その結果、ハーモニックをなす音にくらべて成分を変調した音はより大きな反応を示し、しかもその反応の差は右半球で優位であることがわかった。
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Research Products
(3 results)