2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクス解析法を用いた滲出性中耳炎における病態関連分子の網羅的解析
Project/Area Number |
17791171
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
假谷 伸 岡山大学, 医学部歯学部附属病院, 助手 (10274226)
|
Keywords | プロテオミクス / マススペクトロメトリー / 滲出性中耳炎 / サイトカイン |
Research Abstract |
滲出性中耳炎を発症したヒトから中耳貯留液を採取し、プロテオミクス解析の前処理としてトリクロロ酢酸沈澱を行った。アセトン中に沈澱したサンプルを風乾した後、lysis buffer(8M Urea,4%CHAPS,60mM DTT,10mM Tris-HCl(pH7.4))にて再溶解し、SDS-PAGE用サンプルバッファー(1%DTT含)と混合した後12.5%ゲルにて電気泳動した。泳動後のゲルをCoomassie brilliant blue染色した結果、80,60,50,30,15kDa付近にタンパク質の分布を認めた。これらのタンパク質についてピリジルエチル化、およびゲル内プロテアーゼ消化を行い、各タンパク質のペプチドを回収し、質量分析計によってタンパク質のアミノ酸配列を決定した後にアミノ酸配列からヒトのタンパク質データベース検索を行い、タンパク質を同定する予定である。 また、採取した中耳貯留液をサンプルとして用いて滲出性中耳炎におけるサイトカインの関与を検討した。滲出性中耳炎には細菌性炎症だけではなくアレルギー性炎症が影響をおよぼすことが予想されたため代表的な炎症性因子であるTh1型、Th2型サイトカイン、および調節性サイトカインの検出を行った。その結果、インターロイキン12が全症例から検出され、その濃度はインターロイキン2、インターフェロンガンマと有意な相関を示した。また、アレルギー性鼻炎を合併している症例では中耳貯留液中のインターロイキン4、インターロイキン5の濃度が有意に高く、アレルギー因子が滲出性中耳炎の病態に影響を与えていることが強く示唆された。これらの研究成果はOtology & Neorotologyに掲載予定である。
|