2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791175
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
菅原 一真 山口大学, 医学部, 助手 (20346555)
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Keywords | 内耳 / 内耳保護 / 感覚細胞 / 細胞内シグナル伝達 / JNK |
Research Abstract |
内耳感覚細胞が障害される際,細胞内シグナル伝達に関わる分子群の活性化が誘導され,その後に感覚細胞が死滅する。哺乳動物の感覚細胞はひとたび障害されると再生されることはなく,現在の難聴治療上の障壁となっている。MAPKファミリー分子は細胞が外部からの様々なストレスを受けた際に活性化され,細胞の生存,分化,死に関わるシグナル伝達を行っている。中でもMAPKファミリーのひとつであるJNKは神経細胞がアポトーシスを起こす際に必須の物質とされ,他の神経系ではJNKの活性化が神経細胞死に密接に関わっているとする数多くの報告が多く見られる。近年,細胞内シグナル伝達物質に対する阻害剤が開発され,薬理学的解析が可能になりつつある。申請者はMAPKファミリー分子が内耳障害にどの様に関わっているかを明らかにする目的で研究を行った。本年度は,内耳組織として,マウス卵形嚢の器官培養を用いた。卵形嚢をアミノグリコシド系薬剤のネオマイシンの存在下に培養を行うと,感覚細胞が徐々に障害される。この過程で,JNKが活性化されることを明らかにした。また,阻害剤を用いてJNKの活性化を抑制すると感覚細胞死が抑制されて,結果として内耳保護につながる可能性があることを明らかにした。アミノグリコシドによる内耳感覚細胞傷害は,カスパーゼの活性化が深く関与していることが既に報告されているが,我々の結果ではJNKの阻害薬は,カスパーゼの活性化も抑制しており,JNKは内耳感覚細胞死のシグナル伝達において比較的上流に位置するものと考えた。これらの結果は,平成17年度の日本耳科学会,日本めまい平衡医学会,The Association for Research in Otolaryngology(米国,メリーランド州)で報告した。また,現在,論文化すべく準備中である。
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Research Products
(1 results)