2005 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤徐放システムを利用した内耳障害治療モデル動物の作成
Project/Area Number |
17791176
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
橋本 誠 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (50343299)
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Keywords | 薬剤輸送システム / 内耳障害治療 / 実験モデル / 神経科学 |
Research Abstract |
近年、内耳に薬物を直接投与する各種方法がDrug Delivery Systemとして注目を集めている。薬物の効果を評価する上で、浸透圧ポンプを用いた内耳への直接薬物投与による動物モデルは、EBMに寄与する。今回、モルモットを用い音響障害に対する抗酸化剤edaravoneの内耳への局所投与による効果を検討した。edaravoneは脳梗塞の治療に用いられており、ヒトへの臨床応用が可能な薬剤である。edaravone(1.722×10^<-2>M)を浸透圧ポンプを用い、右耳に投与した。edaravoneを音響付加9時間前と、音響負荷9時間後、21時間後、33時間後に投与した群に分けた。音響負荷には130dBのノイズを用い、3時間負荷した。音響曝露7日後に、機能的評価として聴性脳幹反応(ABR)を行い、また組織学的な評価として有毛細胞の消失率を調べた。ABR域値の上昇と外有毛細胞の消失率において、音響負荷後9時間後にedaravoneを投与した群が最も、また対照群と比べて有意に小さかった。以上の結果から、edaravoneが蝸牛障害に対する治療薬として、有効であることが証明できた。この結果はEuropean Journal of Pharmacology(2005)で報告した。一方ヒトへの臨床応用を考えると、浸透圧ポンプはポンプ除去という処置とその侵襲が問題となる。そこでより侵襲が少ない方法として、ゼラチンを正円窓膜上に留置することで内耳への薬物浸透の効果があるかどうか、モルモットを用いて現在検討を行っている。効果が確認されればヒトへの臨床応用が現実的となることが期待できる。
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