2005 Fiscal Year Annual Research Report
加齢による嚥下機能障害のメカニズムとIGF-1投与による予防効果に関する研究
Project/Area Number |
17791179
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田口 亜紀 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (00380238)
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Keywords | 下咽頭収縮筋 / 加齢 / 嚥下 / 神経栄養因子 / ラット |
Research Abstract |
成熟群として10〜17週齢、加齢群として24ヶ月齢のラットを用いた。 1)下咽頭収縮筋の組織学的検討:、myosin ATPase染色を行って、甲状咽頭筋、輪状咽頭筋の筋線維を分類し、各筋ごとに筋線維タイプ構成比を算出し、成熟群と加齢群での構成比の違いを検討した。甲状咽頭筋および輪状咽頭筋ともに筋線維はタイプ1、IIb、IIc線維に分類された。甲状咽頭筋の成熟群ではタイプIIb線維が大半を占め、タイプI線維は少数であった。タイプIIc線維はほとんど認めなかった。加齢群ではタイプIIb線維の割合が成熟群より減少し、タイプIIc線維が3.1%と増加した。 輪状咽頭筋の成熟群でもタイプIIb線維が約半分を占め優位であったが、タイプI線維の割合は甲状咽頭筋よりも高かった。加齢群ではタイプIIb線維が減少し、タイプI線維が過半数を占めたが、加齢による筋線維タイプ構成の変化は甲状咽頭筋より少なかった。タイプIIc線維は成熟群・加齢群ともに6.5%でいずれも甲状咽頭筋より多かった。 2)下咽頭収縮筋神経下装置の観察: 1次シナプス間隙は、甲状咽頭筋の成熟群では迷路型が76.3%と多数を占めたのに対し、加齢群では陥凹型が72・5%を占め、構成比率が逆転した。輪状咽頭筋の成熟群では陥凹型が68.4%と優位であり、加齢群においても陥凹群が多くを占め、成熟群と加齢群で構成比率に有意差はなかった。両筋の成熟群・加齢群の陥凹型では、浅い1次シナプス間隙と、少数で浅い2次シナプス間隙を有する神経下装置が、特に輪状咽頭筋にて観察された。このような神経下装置の筋線維径は小さく、神経再生過程にある未熟な神経下装置および筋線維と考えられた。
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