2005 Fiscal Year Annual Research Report
中耳真珠腫におけるレチノイン酸誘導による細胞形態変化解析
Project/Area Number |
17791181
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白土 秀樹 九州大学, 大学病院, 助手 (30398060)
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Keywords | 中耳真珠腫 / ビタミンA / 細胞骨格 / PPAR / RT-PCR |
Research Abstract |
細胞骨格は細胞外基質、細胞膜、核との情報シグナルを伝達したり、逆に種々のシグナルを発信することで個体発生や癌の浸潤・転移において非常に重要な役割を果たすことが明らかになったが、中耳真珠腫上皮細胞の細胞骨格に関する詳細な分子生物学的報告は皆無である。一方retinoic acid(以下RA)は扁平上皮癌のみならず、扁平上皮細胞の形態変化を引き起こすことは既によく知られており、真珠腫上皮細胞にRAを作用させると扁平上皮細胞が線毛上皮に形質変換すると報告されているが、その機序は不明である。今回我々はRAシグナル伝達に重要な役割を果たすPPAR(peroxisome proliferator-activated receptor)と細胞骨格cytoketain(以下CK)、細胞膜接着因子のひとつであるβcateninとの相関について検討した。対象は2003年から2005年までの3年間に当教室で診断治療された中耳真珠腫のうち、中耳粘膜のコントロールを有する症例30例です。全症例にSAB法による免疫組織化学染色を用い、RA関連因子の発現を検討した。また、細胞骨格CKのなかで重層扁平上皮に特異的に発現し、過去の報告でも真珠腫に高率に発現するsubunitであるCK13と、主として中耳粘膜を含む単層上皮に発現するCK8、さらに細胞骨格がアンカーし、細胞形態に深く関わっているβcateninについても発現様式を検討した。PPARγ陽性例は有意にβcatenin発現が抑制されていた。(p=0.044)即ち、RA signal伝達に関与するPPARγは真珠腫の接着を低下させる方向へはたらき、真珠腫の本体をなす、重層扁平上皮破壊する方向へ働きかける可能性を示唆していた。一方PPARgammaと真珠腫の局所炎症を増悪するNFkappaBとの相関について検討したが、PPARγ発現例はNFκBが低下する傾向があったが、有意な相関は認めなかった。
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Research Products
(5 results)