2005 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌における接着分子CD44連続的切断の意義の解明
Project/Area Number |
17791187
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
村上 大造 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70398212)
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Keywords | 浸潤 / 転移 / CD44 / ADAM / γ-secretase / NSAIDs |
Research Abstract |
接着分子CD44は癌細胞の増殖能、浸潤・転移能に関与することが多くの研究によって示されている。我々はその機能を制御する機構のひとつとして、カルシウムシグナルやPKC活性による細胞外領域、膜貫通領域における連続的切断機構があり、この切断活性のうち細胞外領域切断はADAM10、17、また、膜貫通領域切断はγ-secretase活性によることを見出している。近年、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)が細胞膜蛋白の切断に影響することが報告されている。今回NSAIDsのCD44連続的切断に対する変化について検討し、これら薬剤が接着分子を介して細胞に与える影響について解析した。 CD44連続的切断に対する影響を各種NSAIDsにおいて検討したところSulindac sulfide (SS)、Meclofenamic acid (MA)処理で切断亢進が確認された。これら薬剤によるCD44連続的切断のうち細胞外領域切断はmetalloprotease阻害剤により、膜貫通領域切断はγ-secretase阻害剤により抑制された。また、MAの切断活性はEGTA、PKC阻害剤では抑制されなかった。SS、MAのヒアルロン酸上の細胞運動に対する影響をBoyden chamberを用いたmigration assayにて検討したところ、運動能は優位に抑制された。これら薬剤処理後、経時的にCD44の発現動態を検討したところ、scrape処理では全長蛋白のturn overが確認されたのに対し、NSAIDs処理では時間経過と共にその発現量は低下した。 NSAIDsによる癌転移抑制についてはすでに報告されているが、その分子生物学的機序はいまだ不明な点が多い。本実験結果は、その癌転移抑制作用の一機序として、接着分子の細胞膜上での切断、及び新規合成の抑制による機能的な接着分子の発現低下を介していることを示唆している。
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