2006 Fiscal Year Annual Research Report
急性中耳炎の起炎微生物に関する分子生物学的研究、特にウイルスと細菌の役割について
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17791194
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
鈴本 正樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (20382327)
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 急性中耳炎 / ウイルス感染 / PCR / インフルエンザ菌 |
Research Abstract |
(1)分子生物学的手法による血清型分類 小児急性中耳炎患児25例より採取した鼻汁吸引液についてインフルエンザ菌の検出と無莢膜型、莢膜型の判別をmultiplex PCR法により行った。25例中、18例(72.0%)にインフルエンザ菌を検出し、5例(27.8%)が莢膜を有するb型インフルエンザ菌であり、13例(72.2%)が葵膜を有しない無莢膜型インフルエンザ菌であった。また1例がβラクタマーゼ産生遺伝子を有していた。このmultiplex PCR法を用いることで急性中耳炎患児検体より、インフルエンザ菌の検出および、莢膜の有無、βラクタマーゼ産生の有無を同時に短時間で確実に検出することができることを証明した。 (2)分子生物学的手法によるウイルスおよびマイコプラズマ、クラミジア感染の検索 小児急性中耳炎患児104例を対象に鼻咽腔スワブと中耳貯留液を採取しPCR法による検索を行った。中耳貯留液93例ではウイルス陽性例は9例(9.7%)で、RSウイルス4例(4.3%)、ヒトメタニューモウイルス5例(54%)であった。鼻咽腔スワブ99例ではウイルス陽性率は23例(23.2%)で、RSウイルス5例(5.4%)、ヒトメタニューモウイルス11例(11.8)%、インフルエンザウイルス0%、アデノイウルス7例6(7.5%)、マイコプラズマ0%、クラミジアニューモニア0%の検出率であった。 中耳貯留液からウイルス単独で検出されたのは1例のみでその他は細菌と同時に検出され、鼻咽腔から検出されたウイルスに関しては全例細菌と同時に検出されていた。 現在、急性中耳炎の臨床経過、特に治癒過程においてウイルスが検出された症例と検出されなかった症例について検討を行っている。 以上の結果についてはすでに論文として発表あるいは執筆準備中である。
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