2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症モデルマウスと大理石病モデルマウスの中耳・耳小骨形態と聴覚に関する検討
Project/Area Number |
17791198
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50286556)
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Keywords | 骨免疫学 / 耳小骨 / 老化 / 難聴 / osteoprotegerin (OPG) |
Research Abstract |
本研究は耳小骨の骨リモデリングの検討である。 osteoprotegerin (OPG)は破骨細胞に対する(RANKL)のdecoy受容体である。すなわち、OPG KO(ノックアウト)マウスでは破骨細胞が過剰に増加している。OPG KOマウスの耳小骨でも破骨細胞が増加し、骨吸収増加による耳小骨の狭小や骨形成による変形などの形態変化が生じた。マイクロCTでは正常マウスに比較して骨密度の低下が認められた。特にあぶみ骨ではその周囲に存在する内耳骨包と癒合して固定した結果、振動を内耳に伝導させることができず、進行性難聴を呈することを見出した。 以上の結果から臨床的意義は3点存在する。 1)本マウスはその遺伝子欠損部位からjuvenile Paget病モデルであることが知られており、本疾患の難聴の原因は不明であったが、本研究成果から難聴の病態を解説することができた。 2)骨形態としては特殊ながら骨吸収が増加した骨粗鬆症であり、骨粗鬆症と難聴の関連性を示唆する結果であった。 3)本マウスにおけるあぶみ骨の組織像は耳硬化症における骨吸収の状態に類似していると考えられ、臨床的には耳硬化症の病態や治療法を考える上で非常に重要な知見である。 以上の成果をふまえ、耳小骨の骨吸収と形成を中心としたリモデリングによる耳小骨形態と聴力機能に関する研究ならびに治療について検討していくことが来年度にむけた課題と考えられる。 (なお、本研究の成果は17年10月3日から韓国ソウルで開催された第25回Politzer meeting;国際耳科学会にてPolitzer awardを獲得した)
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Research Products
(7 results)