2005 Fiscal Year Annual Research Report
めまい・平衡障害に対する胴体回転行動を指標とした治療薬探索モデルの開発
Project/Area Number |
17791211
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
河内 明夫 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (80389593)
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Keywords | 胴体回転行動 / GABA / ニューロステロイド / 前庭神経核 / エンドセリン / グルタミン酸 |
Research Abstract |
「めまい・平衡障害に対する胴体回転行動を指標とした治療薬探索モデルの開発」を行うにあたり、本研究では次の2つの点、1、薬物誘発胴体回転行動を前庭神経核に対し直接・間接的に作用する薬物によって分類する、2、本行動におけるベンゾジアゼピン系薬物による抑制効果とニューロステロイドによる作用増強効果について検討する、を目標としている。現在、1)について検討中であり、その研究成果は「薬物誘発胴体回転行動とその発現機構」として、日本薬学会第126年会(2006年3月、仙台)にて発表した。また同内容を英語論文「Excitatory and inhibitory modulation of vestibular function on the drug-induced barrel rotation in rats」として投稿中である。以下にその内容を示す。 本実験において血管収縮性ペプチドであるエンドセリン、興奮性アミノ酸であるN-methyl-D-aspartate(NMDA)及びGABAレセプターアゴニストであるムシモールの第4脳室内微量注入により、胴体回転行動が引き起こされることを確認した。一方、前庭神経核細胞のfiring rateはNMDAにより興奮性に、ムシモールにより抑制性に変化することを認めた。このことからNMDA及びムシモールは前庭神経核細胞に直接的に作用し、左右の前庭神経核神経活動の不均衡を引き起こすことにより、胴体回転行動の発現をもたらすことが示唆された。また、エンドセリンは前庭神経核細胞のfiring rateに対して何ら影響を及ぼさないことが明らかとなり、脳血管収縮を介した虚血状態が引き起こされ、これにより胴体回転行動の発現に至った可能性が考えられた。 以上の結果は、当初目的としていた「胴体回転行動を指標とする治療薬探索モデル開発」という目標に加え、副次的にこの実験動物モデルが脳血管収縮による胴体回転行動を利用した前庭神経核梗塞モデルあるいは片頭痛治療薬開発モデルになりうること、さらに薬物の微量注入による脳内環境の変化によってめまい・平衡障害の程度をコントロールできる可能性を見出したものと考えている。
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